今回は準備工事のうち、事前調査業務について解説していきます!
「準備工事」は本格的に工事を始める前に行う工事です
工事範囲を区画する仮囲いやゲート、管理業務を行うための仮設の工事事務所の設置のほか
事前の調査や、調査に合わせて行う届出業務などが該当します。
準備工事は安全で円滑に行うために重要な上、工事開始後では行えない・行うにはもう遅い!
と、なってしまう作業もあるので忘れずに行うようにしましょう!
経験のある方は思い出すために、経験のない方はやるべきことを把握するために見ていただけたらと思います。
この記事でわかること
1.準備工事って何やるの?
2.事前調査業務の内容を確認
3.
順番に確認していきましょう!
準備工事って何やるの?
準備工事は本格的に工事を始める前に行う工事です
工事の時期はこちら
工事を行う上で特に注意する・配慮するべき項目はこちら
- 建築工事を安全に円滑に行うために、事前に調査をしたり仮設設備を設置して準備すること
- 近隣住民や通行者などの第三者の安全や環境に対して工事の影響を与えないようにすること
この2つの項目が計画した内容でクリアできているか、このあたりが管理ポイントですね
準備工事の分類
準備工事を分類すると「調査」「仮設工事」「式典」に分けることができます
それぞれの簡単な概要です↓
「調査」
「調査」は建築工事をスムーズに行うために、工事敷地内・敷地外の状況を事前に調べること
「仮設工事」
「仮設工事」は建築工事を安全で円滑に行うために、一時的に設置する工事囲いや足場などの安全設備を設置すること
「式典」
「式典」は起工式や地鎮祭などが該当します、式典の内容は大筋決まっていますが
地域の特性や宗教によっても内容が変わったりします、事前に確認しておきましょう
では順番にもう少し詳しく確認していきましょう!
調査:事前調査業務の内容を確認
「調査」は建築工事をスムーズに行うために、
工事敷地内・敷地外の状況を事前に調べることと、役所への届け出や確認業務が主な作業になります
今回は多くの工事で共通する業務を中心に確認していきます
※注意 工事が着手することが決まったら、上司や所長にこれから紹介する内容のほかに必要な業務がないか確認は必ず行うようにしてください
今回確認していくのは次の5つです
- 地盤調査
- 前面道路の埋設配管の調査
- 敷地内の埋設物調査
- 近隣家屋調査
- 事前協議・届出
順番に確認してきましょう!
地盤調査
地盤調査には図面や周辺情報を確認する事前調査と現地で行う本調査があります
まず設計時に行われますが、必要に応じて工事着手時に追加調査を実施することがあります
地盤調査は主にボーリング調査が実施されます
ボーリング調査の特徴
- 地盤をボーリング(孔あけ)することで地盤の強さや土の状態を把握できる
- 深さごとの土の強さN値、地下水位、乱した土質サンプルを採取できる
- 多く採用される工法はボーリング標準貫入試験
- この試験で得られたデータは土質柱状図にまとめられる
基礎工事や山留工事・土工事を行う際の重要な情報として使用されます
詳しくは基礎工事編で解説します、今回はそうゆうものがあるんだね~程度の認識でOKです
前面道路の埋設配管の調査
敷地の前面道路にはさまざまな公共物が埋設されてます
上下水道管・ガス管・電話線・電気線・共同溝などが該当します
確認せずに掘削工事などを行い、あやまって地盤を沈下させてしまった場合にはそれらの管などが破損して重大事故になることがあります
都会はもちろん、田舎であっても埋まっているので要注意です!何かしら必ず埋まっています
敷地の前面道路のどのあたりに何が埋まっているかは、担当する諸官庁等の窓口で確認することができます
どこに行っていいかわからない場合には、市役所に電話で確認することをオススメします、行くべきところを教えてもらえるので時短になりますね。
名古屋市内の工事での例
- 上下水道は市の上下水道局
- ガスは東邦ガス
- 電気は中部電力
- 電話はNTT西日本
私が過去にやった現場ではこんな感じでした
敷地内の埋設物調査
敷地内の埋設物調査を行う理由
- 工事予定地の条件は場所ごとで違う
- 埋設物は工事に支障が出る
工事予定地の条件は場所ごとで違う
工事予定地は更地や造成された平らで綺麗な場合だけでなく、
過去に建物が建っていた敷地や、今建っている建物を解体してから作業を行う敷地
田んぼの状態であるとか、山を削って敷地をつくる場合など様々です。
工事予定地は表面からだけでは確認することのできない物が埋まっていることがあります
これらの埋設物は山留工事や杭工事・地下躯体工事に支障が出る恐れがあります
埋設物は工事に支障が出る
杭が真っすぐ入らなかったり、大きなコンクリートが埋まっているとバックホーでも掘れないですね
水の通っている水道管や、電気の通った電線などに影響を与えた場合には周辺住居への影響が出たりもします
工事中に想定していない埋設物が出てくると、準備ができていない作業が発生するので時間がとられてしまうし、もちろん費用もかかるので工事範囲は特に事前の埋設物調査が必要です
埋まっていることがあるもの
- 既存建築物の杭や地下構造体の一部
- 解体時に残ってしまったコンクリート
- 道路からの引き込み配管
- 井戸
- 昔の石垣
- 場所によっては遺跡や不発弾などが出ることも
いずれの埋設物も出てきた時に施主(建築主)へ報告して、現地を確認してもらい記録に残しましょう
埋設物が廃棄となるものなら処分費用を請求する必要がありますし
施主が建物を建てるために購入した土地の場合、前の持ち主と費用負担の話をすることがあります
邪魔だからと言って掘り返して勝手に処分してはダメってことです
記録方法は
- 埋まっている状況の位置を図面にメモ
- 埋まっている状況を写真に残す
- 掘り出した際には寸法がわかるように写真に残す
- リボンロッドなどをつかって埋設物の寸法がわかるようにしましょう
- 廃棄物として処分すると決まった時には、トラックに積みこんだ状況”荷姿“を写真に残す
調査方法
- 古い地図を確認する
- 地域のデータベースを閲覧する
- 水道や電気などは各担当の役所窓口へ
- 既存建物がある場合には、その建物の設計図面を確認します
- 実際に敷地内でバックホーなどを使用して試掘を行う
近隣家屋調査
工事周辺の近隣家屋について、工事前に現状状況を記録すること
家屋調査が必要な理由
工事を開始すると、重機の振動や掘削による沈下などによって
近隣の家屋に壁へのひび割れや、家屋自体の沈下発生などが懸念される
工事ではそういったことが発生しないように十分な配慮が必要ですが、起こってしまう場合があります
工事終了後に工事によって起こったのか、それともそれ以前からの現象なのか
事前に家屋調査をして記録を残し、家屋の持ち主(近隣住人)と相互に確認しておくようにしましょう
お互い揉めても良いことなんてないですからね
調査方法
近隣建物の外観を記録する方法は、写真で記録を残します
ひび割れなどがある場合にはスケールをあてて、傾きがある場合には水平器などをあてて写真を撮りましょう
家屋調査を終えた後は、家屋の持ち主にも立ち会い確認をしてもらいます
相互に共通認識のもとでスタートすることはトラブルを防止することにもなりますね
また、家屋調査には専門の業者さんがいます、プロの力を借りて確実に実施するものリスク管理のひとつだと思います
事前協議・届出
工事の開始前には法令に基づいた手続きや届出が必要になります
これを怠ると違法状態となり罰則を受ける恐れがあります、忘れずに実施しましょう
届出の例を記載しておきます
建築基準法に関わるもの
建築確認申請
これは主に設計監理を行う人が行います、これは主に設計監理を行う人が行います
労働安全衛生法に関わるもの
建築工事計画届
これは施工業者が作成し提出します、作業所で作成するだけでなく、かならず社内の参画者(上司や技術部門に依頼する)に確認してもらいましょう
工事用電源や上下水道に関わるもの
使用届や管理についての協議など
特に大きな川が近くに流れている場合には要求される内容が厳しくなるので注意です
周辺道路に関わるもの
- 車両の規制解除
- 道路使用や道路占用
- 沿道掘削
- 特殊車両運行許可
土壌汚染対策法に関わるもの
既設建物が有害物質使用する施設だった場合や、そうでない場合でも3000平米以上の土地の形状を変える場合に必要です
大気汚染防止法に関わるもの
アスベスト含有物を使用した建屋を解体する場合に該当します
アスベストについては法的な規制や実施するべき対策があり、近年の法改正によってやるべきことが変わったりしているので要注意です
これも今後、個別に記事にまとめていきたいと考えてます
「調査」のまとめ
調査は建築工事をスムーズに行うために事前に実施する工事です
主な項目は
- 地盤調査
- 前面道路の埋設配管調査
- 敷地内の埋設物調査
- 近隣家屋調査
- 事前協議・届出
現場によってはこれ以外にも該当するものがあります
作業前に上司や所長に確認して、実施忘れが無いようににしましょう
着手後ではできない作業であったり、協議・届出が出来ていないと法違反となる場合があります
事前準備や調査をしっかりして、スムーズに工事を行えるように頑張っていきましょう!
今回は以上です、ではまた!
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