今回は、建物を適切に建設するためにの準備として、建物が建つ地面の下の情報を正しく把握する方法を確認していきます
地表を見ただけではわからないさらに下にある土(地盤)がどうなっているか、土の特性と調査の方法を順番に確認してきましょう
この記事でわかること
1.土や地盤ってどんなもの?
2.土や地盤情報の使用方法
3.土の基本情報
4.地盤による分類
5.地盤調査で地盤の情報を調べる
6.地盤調査で得た情報の使い方
順番に確認していきましょう!
土や地盤ってどんなもの?
土や地盤の特徴を順番に確認してきましょう
土(地盤)は自然によって造られたものです
- 製鉄やコンクリートなどの人工的に作られたなどの建材と比べると品質にバラツキが大きい
- 状態は非常に柔らかいヘドロから、がちがちの岩盤まで状態の幅広い
- 表面から見ただけでは内部の情報は分からない
土(地盤)の上に建物を建てる
建物は土の上に建てます、建物からの荷重は杭や基礎が土と接して力を地盤へ伝えています
また、建物を計画する場合に、多くの物件では敷地条件を優先して場所を選択します、地盤の条件を優先して建物を建設することは多くありません、必然的にこの土地のこのあたりに建物を建てたいといった場所が限定されます
計画を行うとき・施工を行うときには、「この土地の、この場所の地盤情報が欲しい」といった状況になります
土(地盤)の情報を知らないと出来ないこと
- 健全な建物を計画することが出来ない
- きちんと管理された施工を行うことが出来ない
建物を建てる場所が限定され、自然に作られた地盤はほかの場所とは共通性がないため、必ずその場所の情報が必要になります
土や地盤情報の使用方法
土や地盤の情報は何のためにしようするのか?
敷地の地盤の性質を把握する
緩い・硬い・水が出る・構成はどうなっているのかを確認します
設計を行うとき・施工計画を行うときに必要な情報です
支持力や沈下量の確認、地震時の挙動予測する
建物が傾かないか、壊れないか、適切な基礎の設計を行うために使用します
根切り・山留め工事の施工計画
安全性とコストを考慮した計画を作成するために必要な情報となります
土の基本情報
まずは基本的な情報の確認です
土の構成
土は、土の粒(土粒子)・水・空気で構成され、土粒子と土粒子の隙間を水や空気が埋めて安定しています
それぞれを分離させるとこんな感じになります
多くの土では、土粒子>水>空気の順で多く含まれています
地盤による分類
地盤はまず、地層の状態で分類できます、地域や年代によって分類され・特徴は様々ですが、大まかに
- 沖積層 新しい地層で、緩い
- 洪積層 古い地層で、硬い
詳細な情報を得るために、土の構造や土粒子の大きさによる分類をします
土粒子の径による分類
土粒子の径によって分類され、名称も変わります
- 土粒子の径が0.005㎜以下であれば粘土質の地層
- 0.005~0.075㎜以下であればシルト質の地層
- 0.075~2.0㎜以下であれば砂質の地層
- 2.0㎜を超える場合には礫(れき)質の地層
土の構造による分類
粘土層は土粒子が小さく、外部からの力は粒子で伝えるのではなく、水が伝えるので地盤は変形しやすい特徴があります
砂・礫層は土粒子が大きく、外部からの力を粒子同士が伝えるため地盤は変形しにくい特徴があります
粘土層と砂・礫層では、地盤の強さを表すN値の評価の仕方も変わります、N値については後述します
地盤調査で地盤の情報を調べる
地盤調査は事前調査と本調査に分けて実施します
事前調査
現場で調査を行う前に、机上で行うことができる調査です
- 過去の地図(古地図)を参照する
- 周辺の工事記録や地盤調査資料を参照する
- 地盤情報を公開しているWEBサイトを参照する⇒○○県 地盤情報 などで検索
本調査
建築予定の現地で行う調査です
試掘
バックホウなどで実際の工事敷地を掘削して地盤状況を調査します
この調査では表層地盤の状況・地下水位が分かります
ボーリング(孔あけ)調査
地盤に孔(あな)をあけつつ、土を採取する調査です
地盤構成情報(土質柱状図)を得ることができます
サウンディング
ロッドの先端につけた抵抗体を地中に貫入させる調査です
- 標準貫入試験 ⇒地盤の強さの指標であるN値が分かる
- スウェーデン式サウンディング試験 ⇒標準貫入試験の数値に換算した換算N値が分かる
日本では標準貫入試験が一般的に行われています、試験方法が定量化されており、得られる数値は地盤の強さを推測できる数値として使用されています
原位置試験
- 物理探査 P派S派を求めることで、各層の強度・地盤特性が分かる
- 載荷試験 圧力をかけて地盤の変形量を測定することで、地盤反力が分かる
地下水調査
対象地盤の透水性が分かる
物理探査
地盤の弾性波速度・電気抵抗比などを測定
室内土質試験
採取した資料で試験試験室で行う
- 物理試験 ⇒密度試験・含水比試験・粒度試験
- 力学試験 ⇒圧縮試験・せん断試験
よく使う情報 N値と土質柱状図について
N値と土質柱状図は、ボーリング標準貫入試験で得られる情報です
N値
N値はサンプラーを30cm貫入させるのに要する打撃回数です
打撃回数なのでN値10=10N(ニュートン)とは違う値です
まだ、土質によってN値の評価の仕方が変わります
同じN値10であっても、砂質土では緩く、粘性土では硬い地盤と判断できるため、地盤の構成はきちんと把握しましょう
土質柱状図
標準貫入試験ではサンプラーを打ち込むことで土質のサンプルを採取できます
採取した試料を深さ毎に図表化し、得られる情報をまとめたものが土質柱状図です
記載される情報はこちら
- ボーリング名
- 位置
- 孔口標高
- 柱状図
- 土質区分
- 記事
- N値
- 孔内水位
- 原位置試験
見方の注意ポイント
土質区分に記載されるの用語
- 混じり:15%未満
- 質:15~50%未満
- 土:50%以上
「粘土まじり砂」であれば、粘土が15%未満入った砂の層といった感じですね
おまけ
- 礫の最大径は、記事中の3倍程度のものが出てきたりする
- 粘土の量が多いと水位を下げにくい、下げれられない
地盤調査で得た情報の使い方
基礎工事
基礎設計時に必要な情報として使用し、
施工者としては施工計画を作成するための情報として、施工時の品質確認のために使用します
- 杭が支持地盤へ到達したか確認
- 杭残土量の想定
- 地下水への影響確認
- 施工計画の作成
山留め工事
- 山留め壁の設計
- 支保工の設計
- 根切り底の安定確認
- 地下水処理方法の選定
- 周辺地盤の沈下影響
- 施工性の確認
まとめ
土(地盤)は自然によって造られたもので、表面から見ただけでは内部の情報は分かりません
土の情報を知らないと、健全な建物を計画できない・施工することができないのでしっかり調査をしましょう
土の情報は基礎工事・山留工事・地下躯体工事・外構工事などで使用します
情報量は多いですが、特に現場で良く使用する土質柱状図はしっかりと確認して施工管理を行ってください
以上です!ではまた!
コメント