【躯体工事】鉄筋コンクリート造(RC造)の躯体工事の流れを解説

施工管理業務

この記事では鉄筋コンクリート造(RC造)の施工について、全体の流れを確認しています

これから施工管理を行う若手技術者や、はじめて鉄筋コンクリート造の工事に携わる方に向けて、まずは工事の全体像を把握してもらうことを目的としてまとめた記事です。

なぜこの内容を若手術者が知っておくべきか?

工事が始まると各工区で同時に職人さんが様々な作業を開始します、その時に自分が行う業務や確認するべきポイントなど一度にやることが重なることもあると思います。

その時にパニックにならないようにするために、事前に工事の全体像を把握して少しでも余裕を持って対応できるようになりましょう!

この記事で分かること

1.鉄筋コンクリート造(RC造)の躯体工事の流れ

2.各作業の概要と管理ポイント

今回の記事では地上部分の紹介を行っています、基礎工事部分については別記事にまとめていますので合わせて参照ください!

では順番に確認していきましょう!

鉄筋コンクリート造(RC造)の躯体工事の流れ

ここでは、基礎工事が終わって地上階の床コンクリートが完成した状態から、以降の躯体工事について作業の流れを確認していきます。

墨出し

柱や梁・壁など、RC造の建物を構成する構造体の位置を決めるための基準の線を、床などにしるしていく作業です。

作業はトランシットやオートレベルや下げ振りを使用してポイントを確認し、墨壺という道具を使用して、墨汁で線をしるしをしていきます。

基準の墨出し作業は現場管理者(現場監督)や墨出し屋さんで行い、基準墨から寸法を測って、柱や壁の位置を出す子墨出し作業を型枠さんなどが行います。

基準墨の位置は元請管理者の責任範囲です、かならず自分の目や同僚・先輩の目で確認しておくことが大切です。

外部足場設置

躯体工事を始める前に、先行して外部足場を設置します。

各階の高さは、マンションなどでは3m程度、事務所建築では4~5m程度になるため先行で足場を設置しておかないと、柱筋の結束がしにくかったり、上階の梁や床の作業をするときに作業者が転落する危険があります。

作業性や安全性を確保するためには、足場は先行して設置を行うように計画しましょう。

外壁枠建て込み

RC造躯体の型枠構築順序はそれぞれの会社さんで好みがあるとは思いますが、今回は外部型枠を先に建て込みます。

外部型枠から建て込むメリットは、内部に型枠材・鉄筋材を仮置きできるので必要な場所に材料を運ぶことが容易な点です、私では基本的に外型枠から建て込んでいます。

作業内容の確認です、加工してきたコンクリート型枠をクレーンで床面へ楊重し、各場所へ配っていきます。(小運搬と呼びます)

計画した割り付けに合わせて枠を設置し、釘で固定していきます。

枠にはコンクリートの幅を確保するための金物であるセパレータや、吸排気のためのスリーブ(筒)のアンカー(仮止め金物)を設置しておきます。

構造スリットを設置する物件の場合には、鉄筋屋さんが来る前のタイミングで設置しておきます、後からでは入らないので注意。

柱・壁配筋

次に行う作業は、鉄筋屋さんの工事です。

柱筋は下階の工事の時に先行して配筋しておくことが多いです、主筋の継手作業を行う回数(日数)を減らすためですね。

柱筋の配筋が終わっていない場合には、大工さんより先に鉄筋屋さんに来てもらい、柱配筋をしてもらいましょう。

外側の型枠に合わせて壁筋を配筋していきます。

このときに壁の内部に電気配線のための配管設置を行うため、鉄筋屋さんの作業に合わせて電気屋さんも作業を開始します。

柱・壁の配筋が終わったら、配筋検査を行います、検査に合格した部位は工事写真記録を残しておきましょう。

内壁・柱型枠建て込み

配筋検査合格後、内側の型枠を建て込んでいきます。

現場ではこの作業を「型枠の返し」や「返し枠の設置」と呼んだりします。

柱や壁を垂直に建て込み固定するために、パイプサポートやチェーンを使用し、押し引きすることで真っすぐに型枠を保持します。

梁・スラブ型枠建て込み

次に、梁型枠とスラブ(床)型枠の建て込みを行います。

梁型枠は、型枠をパイプサポートで受けて位置を保持します。

場内スペースに余裕のある現場では、先行して梁の形に組んだ状態の枠を、クレーンで吊り上げて設置ていくと現場作業の省力化になるのでお勧めです。

スラブはパイプサポートの上にバタ角と呼ばれる木材を流し、根太を設置した上にコンクリート用ベニヤを釘を使用して張り付けて構成していきます。

RC造の梁スラブ建て込み時は、型枠大工さん以外は作業エリアを立ち入り禁止とします、不安定で危険な状態だからですね。

かならずスラブが完成して大工さんがOKしてから、次の工程に入る様にしてください

スラブ型枠上の墨出し

梁スラブの型枠が完成したら、床面に打ち込む金物や配管の位置を墨出していきます。

梁スラブに打ち込むことの多い金物はこちら↓

梁の内部に打ち込むもの
  • 吸排気・ガス・電気・給水給湯用の配管スリーブ
  • 外部庇などを固定するためのアンカーボルト
  • 仮設クレーンのつなぎ用アンカーボルト
スラブの内部に打ち込むもの
  • 給排水や電気やガスの縦スリーブ
  • ガス・電気・給水給湯用の打ち込み配管
  • 天井インサート(天井に部材を吊るためのメス側のアンカー)
  • ドレイン(バルコニーなどの排水のくち)
  • 避難ハッチ
  • 手すりアンカー
  • 中空ボイド
  • 天端ポイント

梁配筋・上階柱配筋

次に鉄筋屋さんの工事範囲です、梁材をスラブ型枠上に荷揚げして、必要な場所へ配ったら、梁型枠の上に鋼管を流して梁主筋を配置してきます。

梁主筋は通しで配筋するため、主筋同士の継ぐ作業を行います。

主筋の継手方法は

溶接継手、圧接継手、機械式継手などから選択されます。

梁主筋の継手作業に合わせて、上階の柱主筋の継手も一緒に作業します、継手の作業手間の省力化です。

梁は主筋・あばら筋・腹筋などから構成されます、配筋完了時には検査を行い工事写真記録を残しておきましょう。

スラブ・手すり配筋・壁差し筋配筋

梁配筋作業が完了したらスラブ筋・手すり・上階の壁筋の一部を配筋していきます。

注意するポイントは

床段差位置、バルコニーの片持ちスラブからの定着長さ、開口部の補強筋設置本数などです。

端部と中央で配筋要領が変わったりもします、構造図をしっかり確認しておきましょう!

手すりや壁配筋は、定着方法に注意して配筋します、壁の内部に定着するのか、スラブ筋に定着させる場合にはどうするか・・・こちらも構造を要確認です。

これらの配筋が完了し、検査を終えたら鉄筋の作業は完了です。

スラブへ打ち込み金物を設置

先に紹介した打ち込み金物をスラブへ設置していきます。

スラブ筋を切断しなくてはならない場合には、構造図に記載された補強方法で追加で補強用に鉄筋を入れるなどの対応を行います。

天端ポイント

スラブコンクリートの高さを打設時に分かる様にするための部材です、これを設置しておくと、ある程度はポンプ屋さん土間屋さんが高さを把握しながらコンクリート打設を行ってくれます。

ドレイン

バルコニーなどの溝から雨水を竪樋へ流すための金物で、雨水の取り込み口となる部材です。

段差枠・手すり枠設置

鉄筋工事が完了したら、スラブ上の型枠設置を行います。

床の段差、溝、手すりの枠などを建て込んでいきます。

スラブ上の型枠は浮かし型枠となるので、スペーサーのうえに枠を乗せる形で設置します。

コンクリート打設作業

打設前の検査を終えたら、いよいよ生コンクリートをの打設作業です。

※生コンクリートを型枠に流し込み、充填させる作業をコンクリート打設作業と呼びます。

生コンクリートの打設作業は一度作業を開始すると途中で中断の出来ない作業です、事前に配合計画やコンクリート打設計画を作成して手順良く打設していくことが大切です。

生コンクリートは生コン車で現場まで運搬し、ポンプ車で打設場所まで圧送します。

コンクリートの表面は平滑に仕上げていきます、仕上げは金鏝押さえや木鏝押さえなどの種類から、次工程や最終の床仕上げによって決定します。

タイル張りなら木鏝押さえ、そのほかの床仕上げがある場合には金鏝一回押さえ、防水下地や塗装仕上げなら金鏝仕上げといった感じです、作業計画時に作業所内で話し合って決定しましょう!

コンクリート養生

コンクリートは打設後、表面を急に乾燥させないように養生を行います。

表面養生は散水を行うか、表面処理剤を散布する養生方法から選択し、養生期間中は重量物を載せないようにします。

コンクリートの養生期間が終えると、次の階の工事に入っていきます。

最初の墨出し作業へ移行し、所定の階まで繰り返して構造体を構築していくこととなります。

まとめ:鉄筋コンクリート造(RC造)の地上階躯体工事の流れ

今回は鉄筋コンクリート造(RC造)の地上階躯体工事の流れを確認してきました。

全体を把握するためにざっくりとまとめましたが、いかがでしたでしょうか。

各工事を詳しく知りたい方は、個別に記事を作成していますので合わせて参照ください!

今回の記事で扱った数値の根拠や、品質基準を詳しく知りたい場合は「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5」「公共建築工事標準仕様書 建築工事編」を参照することをおすすめします。

今回は以上です、ではまた!

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