【基礎工事】基礎配筋工事の特徴と工事の流れを解説

施工管理業務

今回は基礎躯体を構築する工事の一つである基礎配筋工事について、工事の特徴と概要について解説してきます。

建築物構造は木造や鉄筋コンクリート造・鉄骨造など様々ですが、基礎躯体の多くは鉄筋コンクリートで構築されます。

多くの工事で採用される基礎躯体工事のうち、建物の強度に大きな影響を与える鉄筋の配筋工事について基本的な事項を確認していきましょう!

この記事でわかることはこちらです

1.鉄筋の建材としての特徴

2.基礎配筋工事を行うまでの流れ

3.基礎配筋工事の流れと管理ポイント

順番に確認していきましょう!

基礎配筋工事とは?

基礎配筋工事とは、基礎鉄筋コンクリート構造体の骨組である鉄筋を組み立てる作業です。

基礎躯体の子骨組みを構成する鉄筋材は、建物自体の強度に大きく影響する重要な部材です。

基礎配筋では上部の建物をささえるために配筋量が上階に比べると多く、基礎の内部に構成する鉄骨柱用のアンカーフレームや杭頭補強筋位置関係を事前に配筋位置を検討し計画することが大切な工事です。

鉄筋材料の特徴を確認

鉄筋は鉄筋コンクリート構造内で骨組みとなる鉄を素材とした建設材料です。

鉄筋コンクリートは、コンクリートの中に鉄筋を骨組みとして組み込み、それぞれの長所で短所を補っています

鉄筋材コンクリート
引張強度強い弱い
圧縮強度弱い強い

鉄筋は引っ張り力が強く、圧縮する力に弱い。

コンクリートは圧縮する力強く、引っ張られる力に弱いため。

引っ張り力がかかる位置には多くの鉄筋が配置され、強度の確保や、同時にコンクリートのひび割れ防止などの役割をしています。

鉄筋材料の種類

使用される鉄筋の種類はSR(丸鋼)やSD(異形棒鋼)がありますが、SDは表面に節(リブ)加工されておりコンクリートへの付着力が強いため現在ではSDを使用することが多くなっています。

材料含まれる成分によって強度などが異なる特徴があり、鉄筋材としては降伏点N/㎟で分類されます。

SD295Aでは降伏点が295N/㎟以上といった規定が定められています。

建物の各部位にかかる力の大きさによって適切な種類・太さが選定され、構造設計されています。

鉄筋以外に使用する材料

  • 結束線
  • スペーサー

結束線

鉄筋同士を結束し、組み立てた鉄筋の形状を保持するために使用されるなました鉄の線です。

ハッカーと呼ばれる先端がカギ型に曲がった工具で縛り付けます。

スペーサー

鉄筋を適切な位置に保持するために使用する材料です。

かぶり厚さを確保する目的や、断熱材などの柔らかい材料への沈み込みを防止する目的で使用され、モルタル製・鋼製・プラスチック製などがあり、部材毎必要な強度が得られるものを選択します。

基礎配筋工事を行うまでの流れ

ここでは工事前の準備から現場に搬入を行う前を確認していきます

  • 施工計画書の作成
  • 施工図作成
  • 鉄筋加工図作成
  • 鉄筋加工
  • 工事現場へ搬入
  • クレーン等を使用して作業エリアへ楊重

施工計画書の作成

工事を行うための計画書を作成します、施工計画書は元請の工事担当者が作成し、鉄筋の専門工事業者が施工要領書を作成します。

  • 工事概要
  • 品質管理工程表
  • 工事計画上の要点
  • 工事検査記録書
  • 施工要領
  • 安全・衛生管理

など、おこなう作業のすべて内容を記載し、施工計画書をもとに工事が進捗します

施工図作成

設計図・特記仕様書・仕様書・質疑回答書などをもとに、実際に施工するための詳細な寸法などを記載した施工図を作成します

作成する施工図等
  • 躯体図
  • 打ち込み金物、貫通孔、開口補強図
  • スペーサー種類分け見本

鉄筋加工図作成

設計図等+躯体図を基に鉄筋の配筋図や加工図を作成します。

  • 配筋図
  • 加工図・加工帳

配筋図

柱や梁や基礎など、決まった形状のなかで鉄筋を適切な空き寸法や、定着長さを確保できるように、1本ずつの位置を示した図面です。

SD(異形棒鋼)を使用するときはリブ(節)部分の直径が最も大きくなるため、図面上ではリブ部分の最外形寸法で記載します。

加工図・加工帳

鉄筋を加工するために、鉄筋の種類、長さ、先端の加工形状、本数などを記載します。

曲げ加工のR寸法は、加工する機械によって変わるため事前に確認しておきましょう。

曲げのR寸法は部材の角の収まりに影響し、配筋位置にもかかわるため計画値で適切に加工します。

鉄筋加工

加工図や加工帳を基に、鉄筋工事業者さんの工場で必要な寸法や形状に加工していきます。

鉄筋そのものは元請から鉄筋材メーカーへロール発注し、工事業者さんの工場や加工場へ納入します。

工事現場へ搬入

工場で加工した鉄筋は、大型のトラックなどに積み込こまれ工事現場へ運搬されます。

現場場内へ搬入した鉄筋は、組み立てる前に材料検収を行います

適切な鋼種であるか、必要な加工がされていることを確認し、工事写真として記録しておきます。

クレーン等を使用して作業エリアへ楊重

トラックで現場に搬入した鉄筋はクレーンを使用して、似取りステージや、組付けするスパンへ配っていきます。

ここでのポイントは、配る先にスペースを用意しておくことと、一度に吊り上げる鉄筋の重量と、置きたい場所までの距離が計画したクレーンの能力でまかなえるか事前に計画することです。

クレーンの能力が不足していると最悪クレーンが転倒してしまいます、しっかり計算して適切に楊重しましょう。

基礎鉄筋配筋工事の工程

つぎに基礎配筋の作業の工程・流れについてです。

基礎配筋は地上配筋とは少し工事の進め方や作業内容が異なります、順番に確認してきましょう。

  • 梁配筋架台の設置
  • 基礎ベース筋の配筋
  • 柱配筋
  • 地中梁配筋
  • 基礎ハカマ筋配筋
  • 小梁配筋
  • 差し筋配筋
  • 配筋検査

梁配筋架台の設置

地中梁の形状は、地上階の梁と比べると幅も高さも大きくなります。

そのため鉄筋を梁の形状に組むために補助材として、アングルなどで組んだフレーム(梁配筋架台や基礎エース)を設置します

構造体ではないため、なるべくコストをかけないように検討します。

管理ポイントとしては、フレームが鉄筋に干渉しない位置に設置することがポイントです、一本足のものを使用する場合で梁の主筋本数が奇数の場合、梁の中央に置くと主筋が干渉してたり、鉄筋どうしの空き寸法が確保できなくなります。

基礎ベース筋の配筋

フーチング基礎の下部分であるベース筋の配筋を行います。

ベース筋の下側のかぶり厚さは、杭天端からの距離です、捨てコンクリートからの距離ではないので注意が必要です。

柱配筋

ベース筋配筋後、柱配筋を行います。

柱筋、杭頭補強筋、梁主筋、ハカマ筋の配筋位置はシビアです、配筋図を作成して鉄筋屋さんと十分に打ち合わせをしておきましょう。

地中梁配筋

次に地中梁の配筋を行います。

基礎エースに預けるように組んでいき、主筋は溶接・圧接・機械式継手などて継いでいきます。

このタイミングでスリーブや人通口の設置・補強筋配筋をしていきます。

製品の補強筋を使用する場合には梁のあばら筋を増やす認定をとったものが多いため、鉄筋の本数を増やして搬入しておいてもらうことが大切です。

基礎ハカマ筋配筋

基礎フーチングの上部分を配筋します。

基礎フーチングの配筋は設置する高さによって梁配筋との関係で設置する順番が前後することがあります。

小梁配筋

床スラブを受ける小梁は捨てコン高さよりかなり高い位置になることがあります、その場合には先行して受けの型枠を設置してから乗せていきます。

差し筋配筋

上階の壁筋を基礎躯体へ定着させるために仕込んでおきます。

差し筋は通りがズレたり、施工中に下がったりしがちです、しっかり結束することはもちろんですが、コンクリート打設前には位置や高さを最終確認をしましょう。

配筋検査

次の工程に進む前に検査を行います。

配筋検査のポイントは、設計図と現場の配筋状況が一致していることを確認することです

施工者の配筋検査では、検査表(チェックシート)と記録写真に残して管理記録とします。

検査項目

  • 部材符号、断面状況
    • (鉄筋種類・径・本数・ピッチ)
  • 部材の位置やかぶり厚さ
  • 配筋基準や詳細図と合致しているか
    • (先端形状、定着長さ、各種補強筋状況)

記録写真に写す内容

  • 工事黒板にどの部位であるか記載
  • 組立状況が適切であること

監理者検査

施工者の自主検査に合格したあとに、工事監理者の検査を受けます。

この監理者検査に合格すると次の工程の型枠工事へ進むことが出来ます

まとめ:基礎配筋工事の概要と工事の流れ

今回は基礎工事中の鉄筋工事についての確認を行いました。

今回のポイントコチラ↓

1.鉄筋の建材としての特徴

2.基礎配筋工事を行うまでの流れ

3.基礎配筋工事の流れと管理ポイント

ポイントは地上躯体工事で行う鉄筋工事とは、鉄筋の量が多く、そのほかの部材との干渉に注意して鉄筋の配置計画を行うことです

鉄筋工事は建物の強度にかかわる重要な作業です、しっかり計画して適切に管理していきましょう!

今回の記事で扱った数値の根拠や、品質基準を詳しく知りたい場合は「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5」「公共建築工事標準仕様書 建築工事編」を参照することをおすすめします。

今回は以上です、ではまた!

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