今回はコンクリート工事で実施する、生コンクリートの受入検査について解説してきます
コンクリートの品質は建物の強度に大きく影響をします、構造設計で必要な強度を計算して計画されています。
施工時には適切に受入検査を行って必要な品質が確保されている生コンクリートあることを確認することが重要です。
コンクリートは建物の構造部分のため、完成時には地中に埋まっていたり仕上げがされているため目視で品質を確認できない部位です、しっかり検査して記録を残す必要があります、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です!
この記事ではコンクリートの受入検査の方法を簡潔にまとめています。工事を行う前に検査方法を確認しておきましょう!
この記事でわかること
1.生コンクリート受入検査の概要
2.生コンクリート受入検査の項目
3.生コンクリートの受入検査の方法
順番に確認していきましょう!
生コンクリート受入試験の検査概要
工場で製造された生コンクリートを現場で受け入れるときに、納入された生コンクリートが計画した品質であることを確認する検査を実施します。
生コンクリートの受入検査は、生コンクリートを打設する前に実施する検査です。検査に合格していない生コンクリートは絶対に打設してはいけません!
ポイント
・受入検査は必ず打設前に行い、検査に合格したことを確認してから打設作業を開始します
・受入検査時には工事監理者や施工管理者が立ち合って実施します
生コンクリートはJIS規格で品質が定められています、生コン工場から納入されたものが設計図に記載された性能をもっているか、JIS規格の基準にあっているものか受入検査で確認することを目的に実施します。
生コンクリート受入検査の項目
つぎに生コンクリートの受入検査で行う検査項目と検査の方法を確認していきましょう。
生コンクリート受入試験の検査各項目を確認
受入検査の内容を順番に確認していきましょう!
納品書確認項目
生コンクリートが工事現場に納入されたら、運転手さんから納品書をもらいます。
納品書には建設現場に納入された生コンクリートの配合など記載されているので、計画した生コンクリートであることを確認します。
納品書に記載された内容は、事前に作成した生コンクリート配合計画書やコンクリート打設計画書と見比べて合致していることを確認します。
スランプ試験
次に実際に納入された生コンクリートの品質についての試験を行います。
まずは、スランプ試験について確認します。
スランプ値とは、生コンクリートの柔らかさを示す値です。
スランプ試験では納入されたコンクリートが、所定のスランプ値±許容値内に収まっていることを確認します。
試験の方法はJIS A 1101(コンクリートのスランプ試験方法)によります。
スランプ値とは?
生コンクリートの流動性や硬さを示す値で、スランプ試験によって得られます。
スランプ値が大きいほど流動性が高く、やわらかい生コンクリートとなります。
スランプ値の大きい方が作業性、型枠への充填しやすさが良い状態といえます。
強度は水セメント比や単位セメント量・単位水量などによって決まるため、スランプ値の大小でコンクリートの強度に影響はありません。
使用する器具
スランプコーン
スランプコーンと呼ばれる、鉄製の筒を使用します。
使用するコーンはJIS規格があります、下側が直径20cm、上側が直径10cm、高さが30cmの厚さ5mm以上の鉄製の製品を使用することとなっています。
突き棒
直径1.6cm、長さ50~60cm程度の鉄製の棒で、先端が丸いものを使用します。
手持ちスコップ
コンクリートをスランプコーンに入れるために使用します。
平板
スランプコーンを水平に設置するために、鉄製で平坦な板を使用します。
検尺
スランプを測定する機械です。
健康診断のときに身長を測るような機器が小さくなったような機器ですね。
水平器・水準器
器具を水平に設置するために使用します。
スランプ試験の方法
器具の設置
水平な場所に平板を設置して、水準器で水平であることを確認します。
平板にスランプコーンを設置、コーンの内側は濡れた布で拭いておきます。
試料を入れる
スランプコーンを両足で固定した状態で資料として生コンクリートを入れていきます。
スランプコーンの容量に対して約1/3まで生コンクリートを詰めていきます。
締固め
生コンクリートを入れたら突き棒で25回突いて締固めていきます。
ポイントは外周から突くこと、平板を突かないように手前で止めることです。
3回繰り返す
計3回繰り返してスランプコーンをいっぱいにします。
天端まで充填したら上面を水平に整えてセット完了です。
スランプコーン引き上げ
コーンの横にある取っ手をもち、水平に3秒ほどかけて静かにまっすぐ引き上げます。
スランプ測定
検尺を生コンクリートの中央に下ろして、スランプ値を確認します。
測定位置は、充填完了時に上面水平に仕上げた部分の中央です、広がったコンクリートでも仕上げた面は比較的きれいに平らになるのでそこをめがけて測定します。
スランプ値は天端からのコンクリートまでの距離(cm)です、得られる値は0.5cm区切りに数字を丸めます。18.2cmならスランプ18といった感じですね。
スランプ値の判定
スランプ値が所定の数値±許容差内の収まっていることを確認します。
許容値以内であれば合格です。
スランプ | 許容差 |
8~18cm | ±2.5cm |
21cm | ±1.5cm |
空気量試験
生コンクリートに含まれる空気量を調べる試験です。
試験の方法はJIS A 1128 「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による 試験方法-空気室圧力方法で行われることが多いです。
使用する機器はこのような形状です。
上についているのが内部の圧力を確認するメーター。
下部は筒状のコンクリート試料を入れる部分です。
出典:株式会社 中研コンサルタント
試験方法
試料の入れ方はスランプ試験とほぼ同様です、容量の1/3の量をいれ、25回突いて充填していきます。
充填し終えたら容器のまわりを木づちで10~15回たたいて、表面に穴のない状態にします。
計3回行って充填し終えたら、余分な試料を取り除いて表面を水平に仕上げます。
蓋を閉じて、空気室の圧力を上げ、作動弁を開けて、目盛を読み取ります。
空気量の判定
空気量が標準値±許容差でおさまっていることを確認します。
コンクリートの種類 | 空気量 | 許容値 |
普通コンクリート | 4.5% | ±1.5 |
軽量コンクリート | 5.0% | ±1.5 |
塩化物量試験
生コンクリートに含まれる塩化物量が計画値以下であることを確認します。
現場ではカンタブと呼ばれる試験片を生コンクリートに差し込み、試験片の反応を測定します。
JISでは生コンクリートに含まれる塩化物量は0.30kg/㎥以下と定められています。
試験の頻度
試験は、打ち込む工区毎・打ち込む日毎で行い、1回の打設量が150㎥以下で行います。
例:一度に生コンクリートを250㎥打設する場合には2回の試験を行います
圧縮強度試験用の供試体作成
試験に合わせて、強度確認用の供試体を作成して、所定の養生期間をおいて圧縮試験を行います。
打設したコンクリートが必要な強度を発現したことを確認するための供試体です。
打ち込む工区毎、打ち込む日毎、かつ1回の打設量が150㎥以下にほぼ均等に3個の供試体を作成します。
150㎥打設する場合は、打設前、50㎥目、100㎥目あたりで作成します
まとめ:生コンクリートの受入検査概要
今回はコンクリート工事おける、生コンクリートの受入検査について確認しました。
コンクリートは建物の強度に大きく影響する材料です、適切に管理していきましょう。
生コンクリートの受入検査記録は工事完了時に発注者へ提出する資料の一つとなります、検査時には記録と写真管理をするようにしてください。
今回紹介したコンクリート工事で扱った数値の根拠や、品質基準を詳しく知りたい場合は「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5」を参照することをおすすめします。
今回は以上です!ではまた!
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