今回はアスベスト(石綿)を含有した建材を使用した建物の解体時に気を付けるポイントをまとめていきます。
アスベストを扱う作業は大気汚染防止法や石綿障害予防規則などの法律でルールが設定されています、法違反にならないように作業前にしっかり準備をしていきましょう。
アスベストが含まれた材料を扱うことは体に悪い、病気になったりする、というのは多くの方が聞いたことがあると思います。
建設業に携わっていると、アスベストを使用された建物の解体作業にかかわることもあります。
自身の健康のためにも、周囲の健康のためにも、しっかり対策して工事を行っていきましょう!
この記事でわかること
1.アスベストの特徴
2.関係法令や規則
3.アスベストの解体までの流れ
順番に確認していきましょう!
アスベストの特徴
アスベストは天然の極めて細い鉱物で、熱・摩擦・酸やアルカリに強いため、昭和30年ころから様々な産業で、保温材や耐火材・摩擦材などに多く使用されてきた素材です。
しかし、アスベストを吸引すると中皮腫や肺がんなど健康被害をおこすことが分かり、現在はアスベストを含有した製品は使用されなくなりました。
大気汚染防止法では、石綿を飛散させる原因となる建築材料を特定建築材料と呼んでいます、HPなどで公開されているリーフレットなどにもそのように記載されいるので覚えておいてください。
当時使われていたアスベストを含有した建築材料が現在も残っているため、解体を行うときには健康被害が起こらないように、法律や規則で決められている予防を行う必要があります。
関係法令や規則
アスベストを含有した建材を解体するときに関係する、法令等を確認していきましょう!
大気汚染防止法では、周囲への飛散を防止するなどが定めされています。
石綿障害予防規則では、作業者や周囲の人がアスベスト由来の健康被害を受けないように予防することを定めています。
作業行う前には、環境省(大気汚染防止法)と厚生労働省(石綿障害予防規則)のHPを確認してみてください、法的な制限や規則などが分かりやすくリーフレットに記載されています。
施工計画を作成するときに便利なので参考としてください。
外部リンク先⇒ 大気汚染防止法の改定内容-環境省
特定建築材料の解体までの流れ
つぎに、アスベスト含有した建材を解体するために必要な作業を、順番に確認していきましょう。
調査
法改正後から、ほぼ全ての建物を解体するときには石綿に関する調査を行うことが定められています。
調査対象は特定建築材料の使用有無です、調査の実施者は工事を受注した元請または自主施工者が実施しなければならない作業です。
調査の方法
解体等工事が特定工事に該当するか否かについて、設計図書その他 の書面による調査、特定建築材料の有無の目視による調査その他の環境省令で定める方法で実施します。
まずは設計図等の書面+目視調査を行い、明らかにならなかった場合に、分析調査という試験室で行う調査を実施するか石綿含有建材とみなしてレベル分類をします。
特定建築材料は種類ごとに作業に関する基準が分類され、レベル1~3に振り分けられています。
また、過去に事前調査に相当する調査が⾏われている場合や、着工日が平成 18 年 9 月1 ⽇以降である建築物などは文書等の確認ができれば目視は不要です。
レベルの分類
レベル1⇒吹付石綿材
レベル2⇒石綿含有保温材、石綿含有断熱材、石綿含有書いた耐火被覆材
レベル3⇒その他の石綿含有建材(成形板など)、天井や壁材などの成形版や、屋根・外壁のスレートなどが該当します
メモ
令和5年10月からは、法定で定められた技能や資格を保有した人が調査をおこなうようになります。
全国で資格の講習が開催されつつあります。
今後、調査業務をおこなう予定がありそうな方は早めに取得しちゃいましょう!
調査結果を発注者へ説明
事前調査の結果を元請から発注者へ報告します。
結果によって発注者がその後に行うべき対応が異なります、調査後は速やかに報告しましょう!
調査結果の掲示
事前調査の結果を工事を行うエリアの見やすい場所に掲示します。
調査結果は、大きさはA3以上のサイズで掲示する必要があります。
掲示内容は、解体等工事の元請業者の名称、調査終了年月日、調査方法、調査結果などです。
記載するべき項目が印字されている既製品の看板を使用すると便利ですね!
作業基準の掲示
調査結果と同様に、作業基準を作業エリアの見やすい場所へ掲示が必要です。
大きさはA3以上の看板を設置します。
掲示内容は届出年月日、届出先、元請業者の名称、作業実施期間及び方法などです。
こちらも項目が印字された既製品が売ってます、便利です。
調査結果を都道府県等へ報告
令和3年6月現在はレベル1・2の石綿含有建材が使用されていた場合に、発注者より都道府県等へ行う必要があります
令和4年4月より、石綿含有建材の有無にかかわらず都道府県等へ報告が義務付けられます、報告者は元請(受注者)です
報告は原則電子による報告となる予定です、報告ソフトはコネクテッド・ワンストップ化(複数の手続きがどこからでも行えるように)整備されたものがリリースされるとのことです。
記事も更新していきます!
作業計画と届出作業
ここでは、担当する諸官庁への届出業務とアスベスト含有建材の解体作業計画に記載する内容について確認していきます。
届出
特定粉じん排出等作業の計画届出を都道府県等・労基署へ行う必要があります。
作業の14日前までに届け出が必要です。
作業計画に記載する内容
各レベルでのアスベスト対応作業の方法
特定建築材料は種類ごとに作業に関する基準が分類され、レベル1~3に振り分けられています。
共通する事項と、各レベルでの対応方法を確認してきましょう。
アスベストの漏えい防止を実施
他の作業場所からの隔離
集じん・排気装置の正常な稼働、前室における負圧の状況の確認を行い、区画された作業エリアから外へ飛散することを防止します。
レベル1・2の隔離については細かな数値や具体的な施工方法が定められています、作業前に環境省・厚生労働省が公開している資料を確認してください
レベル1・2の場合
アスベストレベル1・2の場合に、適切な撤去方法を選択します。
撤去方法によって必要な飛散防止や被爆防止を行います。
そのまま取り外す方法
特定建築材料の形状を変えず、そのまま取り外します。
材料を切断する、破壊するなどの作業が必要な場合には他の撤去方法を選択するようにします。
隔離+集じん・排気装置を使用する方法
集じん・排気装置を使用して解体していきます。
日本産業規格Z8122に定めるHEPAフィルタを付けたものを使用する。
被覆・固着する方法
板状の物等で覆って密閉すること、薬液等の散布により表面を固化することで、囲い込み又は封じ込めて周囲へ飛散しないようにして残置する工法です。
作業時の保護具について
呼吸用保護具
レベル1・2では、電動ファン付き呼吸用保護具または、同等以上の性能をもつマスクを着用をしての作業をします。
保護衣
作業時の服装は、必ずフード付き保護衣を着用します。
レベル3の作業方法
アスベストの漏えい防止を実施
アスベストの粉じんの飛散を防止し、関係者以外の出入りを制限するため、作業場所の周囲を養生シートなどで囲う必要があります。
レベル3成形版などの場合
原則、特定建築材料を切断、破砕等することなくそのまま建築物等から取り外すことで撤去します。
上記が技術的にできない場合には、除去する特定建築材料を薬液等に より湿潤化を行って撤去を行います。
除去後、作業場内の清掃・その他の特定粉じんの処理を行います。
作業時の保護具
呼吸用保護具
成形板の切断などを行わずに撤去する場合は、取替え式防じんマスク(RS2またはRL2)を使用して作業します。
記録保管と報告
上記3つはいずれも解体工事完了後3年間の保管義務があります。
また、常時作業に従事する労働者については、作業の記録を作成し、40年間保存することとされています。
まとめ:アスベストに関する法律と作業方法について
今回はアスベストが含まれる建材の解体について、作業の流れと行う内容を関係法令と合わせて解説しました。
今日のポイントです↓
アスベストは健康被害のリスクがある建材です、飛散防止・吸い込み防止を適切に行い安全に作業を行ってください。
以上です!ではまた!
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