地業工事は、建物の基礎を支える最も重要な工程です。地盤の強度を高め、建物が安定して建てられるかどうかは、この地業工事にかかっています。
施工管理者として、地業工事の役割と重要性を理解し、正しい施工手順や材料選定の知識を身に付けることが求められます。
本記事では、地業工事の基本知識から、現場での管理ポイントまで詳しく解説します。
正確な手順での施工と、品質管理を徹底することで、高品質な基礎づくりを実現しましょう!
本記事は、地業工事の施工管理を徹底解説するシリーズの一部です。
地業工事の基礎知識から掘削作業、盛土・埋戻し、仮設工事、安全管理、コスト管理や施工後のメンテナンスまで、施工管理者として押さえておくべき重要なポイントを詳しく紹介しています。
各記事を読むことで、現場での施工管理に役立つ知識を深めることができます。 他の関連コンテンツも併せてご覧いただき、実践に活用してください。
1. 地業工事とは？：施工管理者が知っておくべき基礎
地業工事は、建物の基礎を形成するための最初の工程で、地盤を掘削・整地し、必要に応じて地盤改良を行う作業です。
この工事が適切に行われることで、建物が長期的に安定して建てられ、外部からの力（地震や重量）に耐えることができます。以下では、代表的な工法と使用される機械について説明します。
- 掘削工法
- 表層改良工法
- 捨コンクリート
掘削工法
掘削は、地盤を調整し、建物を支えるために地面を掘る作業です。掘削には主にバックホウ（油圧ショベル）が使用され、狭いスペースでも作業可能なミニバックホウも利用されます。
バックホウは、建物の設計図に基づいて正確な深さまで掘削するために欠かせない重機です。掘削する地盤の状態に応じて、掘削深度や幅を細かく調整します。
表層改良工法
軟弱な地盤を改良するために表層改良工法が用いられます。表層改良工法では、地盤にセメント系の固化材を混合し、強度を高めます。
混合作業にはミキシングプロペラが使用され、これにより固化材が土と均一に混ざり、表層地盤が強化されます。表層改良は、比較的浅い部分の地盤強化に有効です。
捨コンクリート
地業工事では、基礎の位置を明確にするために捨コンクリートが打設されます。捨コンクリートは、基礎コンクリートの施工時に作業の基準となるもので、厚さは通常50mm程度です。
この捨コンクリートは基礎そのものの強度に関与しませんが、施工時の正確さを確保するために欠かせない工程です。所定の高さで平たんに打設することを心がけましょう！
2. 地業工事の重要性：建物の安定性を確保するために
地業工事は、建物全体の安定性を支える重要な工程です。不適切な地業工事は、基礎の沈下や建物全体の傾きなど、後々大きな問題を引き起こします。
そのため、施工管理者は各工程での品質管理を徹底し、建物の安全性を確保しなければなりません。
- 掘削の管理ポイント
- 地盤調査の重要性
- 周辺環境への配慮
掘削の管理ポイント
掘削では、掘削深度や掘削角度を設計通りに行うことが重要です。特に、深掘りする際は周囲の土砂崩れや掘削面の崩落を防ぐため、仮設支保工を設置する必要があります。
支保工には、山留工法が用いられ、これは深掘り部分を支えるために鋼材やコンクリート壁を仮設する方法です。
地盤調査の重要性
地業工事の前には、地盤調査を行うことで、地盤の性質や支持力を把握します。ボーリング調査が一般的に行われ、地盤の構成を確認し、最適な基礎構造を設計します。
特に、軟弱地盤の場合は、表層改良や杭基礎などの強化策を講じる必要があるため、事前の調査が極めて重要です。
周辺環境への配慮
地業工事では、掘削作業時に振動や騒音が発生します。このため、周辺住民や環境に配慮した対策が必要です。
事前に「特定建設作業実施届出書」を提出し、必要に応じて振動や騒音を低減するための機材（例：防音パネル、振動計測器）を用いて対策を講じましょう。
3. 地業工事における材料と工法の選定
適切な材料と工法の選定は、地業工事の成功に直結します。
地盤の状態や建物の規模に応じて、どの材料を使い、どの工法を採用するかを正しく判断することが重要です。
- 砂利と砂の選定
- 既製コンクリート杭・鋼杭の工法
- 施工時の品質管理
砂利と砂の選定
砂利地業に使用する材料は、再生クラッシャランや切込砕石など、JIS A 5001に準じた粒度の材料が適しています。
これらは、地盤の表面を整え、建物の荷重を均一に分散させる役割を果たします。
山砂や川砂など、シルトや有機物が含まれていない砂が地盤の締固めに適しています。これにより、均一な基礎地盤が形成されます。
既製コンクリート杭・鋼杭の工法
基礎杭には、既製コンクリート杭や鋼杭が使用されます。
例えば、セメントミルク工法では、掘削後にセメントミルクを注入し、杭を根固めすることで、地盤に強固な基礎を形成します。
鋼杭では、オールケーシング工法が使用され、鋼管を使用して地盤を掘削し、スムーズに杭を打ち込むことが可能です。
施工時の品質管理
施工現場での品質管理は、工程ごとに細かく行う必要があります。
杭打ち工事では、杭が所定の深さまで垂直に打ち込まれているかどうかを随時確認します。
打設した杭の垂直度や深さを記録し、定期的に監督者に報告することが義務付けられています。
まとめ
地業工事は、建物の基礎を支える最も重要な工程です。
施工管理者として、正確な掘削、適切な材料と工法の選定、そして品質管理を徹底することが、建物の安定性や長寿命化に繋がります。
さらに、周辺環境への配慮や振動・騒音対策も、現場における重要な課題です。
適切な施工と管理を行い、地盤の品質を確保することが、施工現場全体の成功を左右する鍵となるでしょう。
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