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安全な吊り作業のためのシャックル選定ガイド:JIS規格シャックルの解説

施工管理業務
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シャックルは、建設現場や重機作業において荷重の吊り上げや固定を行うために使用される重要な器具です。

その安全性と性能は、JIS(日本工業規格)により厳格に規定されています。JIS規格は、シャックルの形状、固定方式、使用荷重などに基づいて設計されており、現場での安全作業を支える基盤となっています。

シャックルの形状は「SC」や「BB」などと、記号2文字であらわされることが多いのですが、JIS規格での名称と、一般的なシャックルの呼び名で混同する場合があります。↓が一例です。

  • SCシャックル(JISの分類):ストレート型(S)で、ピンがアイボルトでねじ込み式(C)で固定されるもの。
  • SC(スクリューカウンタータイプ)シャックルスクリュー式ピンで固定する方式のシャックル

会社や現場の安全基準で種類が指定される場合にはJISの分類で指定されることが多いため、本記事では、JIS規格に基づいたシャックルの基本的な仕様や選定方法、正しい使用方法について解説します。

作業内容に応じた最適なシャックルを選ぶことで、安全で効率的な作業を行いましょう!


1. JIS規格(JIS B 2801)に基づくシャックルの概要

JIS B 2801は、シャックルの形状や材質、使用方法に関する規定を定めた日本の工業規格です。この規格に基づき、シャックルは以下のような特徴を持っています。

  • 形状
  • 固定方式
  • 使用荷重の規格
  • 形状: シャックルには主に**ストレート型(D型)とバウ型(Ω型)**の2つの基本形状があり、それぞれ異なる荷重のかかり方に対応しています。
  • 固定方式: ピンの固定方式には、スクリュー式(手で締める方式)やボルト・ナット式があり、用途や安全性に応じて使い分けられます。
  • 使用荷重の規定: 各シャックルには**使用荷重(WLL: Working Load Limit)**が刻印されており、これはそのシャックルが安全に使用できる最大荷重を示しています。作業においては、この使用荷重を超えないようにする必要があります。

2. 形状と固定方式によるJIS規格の分類

JIS規格では、シャックルの形状とピンの固定方式に基づいて記号が付与されています。

この記号は、シャックルの形状(S = ストレート型、B = バウ型)と、ピンの固定方式(A = 平頭ピン、B = 六角ボルト、C = アイボルトねじ込み)によって分類されています。

ストレート型(D型)

  • SA, SB, SC, SD: これらはすべて**ストレート型(D型)**のシャックルを指し、それぞれの固定方式によって異なります。
    • SA: 平頭ピンを使用し、割ピンで外れ止めを行う。
    • SB: 六角ボルトとナットで固定し、割ピンで安全性を確保する。
    • SC: アイボルトをねじ込む方式でピンを固定する。
    • SD: より強力なねじ込み式で、工具を使って固定する。

バウ型(Ω型)

  • BA, BB, BC, BD: これらはすべて**バウ型(Ω型)**シャックルを指します。
    • BA: 平頭ピンを使用し、割ピンで固定。
    • BB: 六角ボルトとナットでピンを固定し、割ピンを使用する。
    • BC: アイボルトをねじ込み式で固定。
    • BD: アイボルトの強力なねじ込み方式。

これにより、使用者は作業に応じて最適な形状と固定方法のシャックルを選択できます。

参考画像

出展:もえろ!タマカケ魂

参照元:もえろ!タマカケ魂 様


3. JIS規格に基づくシャックルの安全対策

JIS規格では、シャックルの安全性を高めるために外れ止め装置の使用が推奨されています。

特に、SBシャックルBBシャックルでは、六角ボルトとナットでピンを固定し、さらに割ピンを使用して外れ止めを行います。これにより、作業中に振動や衝撃でピンが緩むリスクが軽減され、より安全に作業を行うことができます。

また、使用荷重(WLL)の確認も非常に重要です。シャックルには最大荷重が刻印されており、これを確認して使用することで、過負荷による破損や事故を防止できます。

シャックルに刻印されている内容

シャックルのボディに以下のような情報が刻印されています

  1. 使用荷重(WLL): 安全に吊り上げることができる最大の荷重。
  2. シャックルのサイズ: 呼び径や寸法に関する情報。
  3. 製造メーカー材質規格番号(JIS B 2801など)も記載されることが一般的です。

刻印されている使用荷重は、安全に作業を行うために厳守する必要がある基準です。特に建設現場や荷役作業など、重い荷物を扱う際には、使用荷重を超えないようにすることが重要です。

このように、刻印された使用荷重を確認することで、現場での事故を防ぎ、安全な作業を行うことができます。

参考画像

出展:トラデポ

参照元:トラデポ 様


4. JIS規格に準拠したシャックルの選び方

シャックルを選定する際には、作業内容や条件に応じた適切なものを選ぶ必要があります。特に、次のポイントに注目することが大切です。

  • 荷重の方向: 一方向の荷重には**ストレート型(D型)を選び、複数方向からの荷重がかかる場合はバウ型(Ω型)**を選びます。
  • 固定方法: 長期間の作業や振動が多い作業には、**ボルトとナットでしっかり固定するタイプ(SB、BB)を選び、短時間の作業にはスクリュータイプ(SC、SD)**が適しています。
  • 外れ止め装置: 安全性を確保するため、可能な限り割ピンなどの外れ止め装置が付いているシャックルを選定することが推奨されます。

参考画像

出展:現場のドン コンドーテック株式会社

参照元:現場のドン コンドーテック株式会社 様


まとめ

シャックルの選定と使用には、JIS規格(JIS B 2801)に基づいた基準を守ることが非常に重要です。

形状や固定方式、外れ止め装置など、各シャックルの特性を理解し、作業内容に応じた最適なシャックルを選ぶことで、安全で効率的な作業環境を実現することができます。

使用前には必ず使用荷重の刻印を確認し、適切な方法でシャックルを使用しましょう!

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