今回は、建築工事が始まる時点で決まっている情報や前提となっている条件を確認していきます。
工事は現場の工事部門へ渡る前に、営業部・設計部・積算部・調達部・技術部(工事部)などが協力して提案や入札を行っています。
スムーズに工事に着手するためには着工前に決まっている情報を確認する必要があります。
着手時にすでに決まっている情報を事前に把握することで、施工管理を行う時に悩んだり調べなおす時間を減らして効率よく業務を進めることが出来るようになります。
この記事でわかること
1.工事着手までの流れ
2.工事着手時に行う社内業務
3.工事着手時に作業所にある情報
4.積算図面と最終図面の違い
順番に確認していきましょう!
工事着手までの流れ
建築工事がどのような流れで着工に至るのか確認していきましょう。
- まずは、営業部門が工事や物件の情報を得る
- 次に、工事仕様や設計図面をもとに、各工事における労務や材料の費用を算出
- 算出した金額に、経費や工事益を含めて提出見積金額を決定
- 見積金額や見積条件を、建築主・施工者(ゼネコン)間で合意できたら契約を行い
- 契約締結後、契約時に決まった工期の開始時に工事を着手する
ここでのポイントは仕様や設計図は着手時に決まっている点。
見積金額は施工数量を算出し金額を決めて提出しているといった点です。
工事着手時に行う社内業務
次に工事着手時に行う社内業務を確認していきましょう。
営業部門から施工部門への引継ぎ
工事を置こうなう前に、営業や計画部門から実際に工事を行う施工部門への契約内容を引継ぎます。
- 提出見積もり金額
- 工期
- 設計図や工事概要
積算部門や調達部門からの引継ぎ
- 各工事で見込んだ工法
- 各工事の労務や施工数量
- 協力会社から取得した見積金額
各部門から引き継いだ情報をもとに実行予算を作成する
各部門で見込んだ金額に過不足がないか確認・調整し、実際に工事を行うための実行予算を作成します。
実行予算の作成は、工事を管理する作業所長や工事長と呼ばれる現場の責任者が最終決定します。
工事着手時に作業所にある情報
施工管理を行う上で、若手職員が知っておくと便利な情報は着手時に結構たくさんあります。
全体工程
この工事ではこの作業をこういった順番でやろう!といった想定がされています。
全体工程表にはいつまでにこの作業を行わないと工事期間内に終わらない、間に合わないといったポイントが複数設定されています。
このポイントを守る、もしくは前倒し出来るように工程を調整すると工期内に工事は完了し、引き渡すことが出来ます。
各作業で行う工法
各作業には工事を行うための工法を想定しています。
工法だけでなく、この作業では仮設はどういったものを使用するかも想定されていますね。
各作業の大まかな数量(積算数量)
各工事では見積作成時に積算部門が算出した数量があります。
特に、基礎杭は着手後即発注出来るように準備されていることが多いので、工法や仮設まである程度詰められていますね。
基礎のコンクリート数量・鉄筋・型枠数量・・・以降の工事も同様に積算時の数量があるので工事全体を把握する目的として有効につかえる数字です。
各作業での予算金額
提出見積金額を決めるときには各工事のかかる金額が詳細に決められています。
実行予算がまだ決まっていない状況であれば、この金額を参考に予算感を把握しましょう。
まとめ
上司や先輩の指示を待たなくても、引継ぎ資料を見ると工事の全体像を把握することが可能です。
設計図をみてイチから数量を拾って施工計画案を作成しなくても、積算時に数量ひろいや工法選定はされているので活用しましょう。
※注意!! 積算数量は施工図から拾った数量ではないので、施工前には実施数量を確認しましょう!
積算図面と最終図面の違い
ここでは設計図についての注意点を紹介します。
積算時に使用した図面と、確認申請を終えた最終の設計図面では変更されている部分があります。
積算図面が最終設計図になるまでに変更がまったくの無く、そのまま着手することはほとどんありません。
図面を確認する時には最終図面を見ること、変更点が何なのか確認しておきましょう。
変更箇所はどこなのか
変更か所は別紙で一覧になっていたり、図面上に[変更]と記載があったり、赤色で書かれていたりさまざまです。
設計部門と施工部門で設計図の読み合わせ会議を設けると、注意するポイントや変更箇所の確認ができるのでオススメです。
意匠図と構造図・設備電気図との関係性
変更の加減で意匠図と構造図にズレが生じることがあります。
その場合には監理者へ質疑を提出して、どの形状・仕様で施工するべきものか確認をしましょう。
工事着手時に確認するべき情報:まとめ
工事着手時には、まず引継ぎ資料や見積書を見ることで工事の全体像が把握しやすくなります。
工事数量は見積作成時に算出した「積算数量」を確認することで、ある程度把握できます。
積算時には各工事で採用する工法も想定されているので、まずは当初計画はどうなっているのか確認して、その後に現地状況に応じて修正を加えるようにしましょう。
着手時の情報を確認することで、これから自分が行う業務を把握することが出来たり関係者との意思疎通や確認業務がスムーズになります。
※注意ポイントは最終図面を見ること!積算時の数量はあくまでも積算数量であることを忘れない!
今回は以上です、ではまた!
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