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土工事の完全ガイド:7. 振動と騒音対策

基礎知識
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振動と騒音は、建設工事において避けられない要素ですが、これらが周辺住民や環境に与える影響は大きく、対策が必要です。

特に都市部や住宅地では、騒音や振動が原因で住民からのクレームや工事停止に至ることもあります。

また、振動や騒音を伴う特定の工事では「特定建設作業実施届出書」の提出が義務付けられているため、法令を遵守しつつ、周囲への配慮を欠かさないことが重要です。

この記事では、施工現場での振動と騒音を抑え、環境への影響を最小限にする具体的な対策を解説します。

施工現場で避けられない振動や騒音。

周辺環境への影響を最小限に抑えるための対策を解説します。

このパートでわかること

  • 6. 仮設工事と安全管理:現場でのリスクを最小限に抑えるには?
  • 7. 振動と騒音対策:環境への配慮を忘れずに←こちらの記事

「本記事は、土工事に関するシリーズの一部です。このシリーズでは、施工管理者が知っておくべき基礎知識から掘削作業、土質・地盤調査、排水対策、コスト管理まで、土工事に関する重要なポイントを徹底解説しています。詳しい内容や他のステップについては、ぜひ他の関連記事もご覧ください。」

まとめ記事はこちら↓

7.1 振動と騒音がもたらす影響

建設現場では、掘削機や重機、杭打ち機などが大きな振動や騒音を発生させます。

これらの影響は、周辺住民や建物、さらには自然環境にまで広がり、特に周辺住民への配慮が重要です。

住民への影響
騒音や振動が発生することで、住民の生活に支障をきたし、騒音によるストレスや睡眠障害を引き起こします。具体的には、70dB以上の騒音(例:車の通行音や大声での会話)が継続する場合、住民からのクレームが増加する可能性が高くなります。

85dB以上は騒音規制にかかるので十分に配慮が必要です。

建物やインフラへの影響
振動は、特に古い建物やインフラに対してひび割れや損傷を引き起こす恐れがあります。例えば、50dBの振動は一般住宅においても不快感を与え、場合によっては建物の基礎に影響を与えることがあります。

振動の場合は75dBが規制ラインです。

環境への影響
騒音と振動は、自然環境や動物にも悪影響を及ぼすことがあります。特に、保護地域や自然公園の近くでの工事では、環境保護の観点からも配慮が必要です。


7.2 振動と騒音の発生源

施工現場での振動と騒音の主な原因として、以下のものが挙げられます。

  • 重機の稼働
  • 杭打ち作業
  • 交通と搬入
  • 重機の稼働: 掘削機やブルドーザーは、大きな騒音(90dB以上)と振動を発生させます。
  • 杭打ち作業: 杭打ち作業は、特に100dB前後の騒音と強い振動を伴い、周囲に大きな影響を及ぼします。
  • 交通と搬入: トラックや重機の出入りも、70~80dBの騒音を発生させます。

7.3 振動と騒音を抑えるための具体的な対策

振動や騒音を完全に防ぐことは難しいものの、対策を講じて影響を抑えることができます。

以下に、現場での具体的な対策を紹介します。

1. 振動を抑える対策

  • 低振動機械の使用
    • 振動を抑えるために、低振動型の重機や機械を使用することで、周辺への影響を軽減できます。例えば、杭打ち工法の圧入工法は従来の打ち込み式に比べ、振動が少ない工法です。
  • 作業時間の調整
    • 住民の生活時間帯を考慮して、振動や騒音が発生しやすい作業は、早朝や深夜を避けて行います。
  • 防振装置の導入
    • 防振マットや振動吸収材を使い、振動を周囲に広げにくくすることも有効です。特に、振動を伴う作業が続く現場では、防振対策が不可欠です。

2. 騒音を抑える対策

  • 防音壁の設置
    • 防音壁を設置することで、騒音を物理的に遮断し、周辺への音の拡散を防ぎます。特に、都市部や住宅地に近い現場では、この対策が効果的です。
  • 低騒音機械の使用
    • 騒音を低減するために、低騒音エンジンや装置を使用します。これにより、作業現場での音量を大幅に抑えることができます。
  • 機械の定期メンテナンス
    • 古い機械や不具合のある機械は、通常よりも大きな騒音を発生させることがあるため、定期的なメンテナンスを実施して騒音を抑えます。

7.4 住民や周辺環境への配慮

事前の周知は、トラブル回避のために非常に重要です。

工事開始前に「特定建設作業実施届出書」を自治体に提出し、同時期に周辺住民の方へ作業時間帯や作業内容を周知することで、理解を得やすくなります。

また、騒音や振動が発生する場合は、クレーム窓口を設け、対応体制を整備することが望まれます。


7.5 振動と騒音のモニタリング

振動や騒音の測定には、専用の測定機器を使用します。

現場でのリアルタイム監視により、基準値を超えた場合には即座に対応できるため、事前にトラブルを回避できます。

  • 騒音測定計
  • 振動測定計
  • 騒音測定計: **騒音計(例:日本精密測器株式会社の「NL-52」)**を使用し、現場周辺の騒音レベルを測定します。この機器は、騒音レベルをリアルタイムで表示し、データを記録することができます。
  • 振動測定計: **振動計(例:リオン株式会社の「VM-83」)**を使って、振動レベルを測定します。これにより、振動の大きさや継続時間を記録し、基準を超えた場合にすぐに対策を講じることができます。

モニタリングシステムの導入により、基準値を超えた場合には即座に作業を中断し、適切な措置を取ることが可能です。


7.6 行政への届け出と法的規制

振動や騒音が発生する工事においては、事前に「特定建設作業実施届出書」の提出が義務付けられています建設作業における公害防止法に基づく規定)。

この届出書は、工事の規模や内容、影響範囲によっては提出が必要で、自治体に対して事前(7日前まで)に提出します。

  • 提出の必要な工事の例:
    • 杭打ち工事コンクリート破砕作業など、騒音や振動が一定レベルを超える作業が対象となります。
    • 掘削や重機作業も、振動や騒音の影響が大きい場合には提出が必要です。

自治体によって基準や手続きが異なるため、事前に確認し、適切に対応することが求められます。


まとめ

振動や騒音対策は、現場周辺の住民や環境への配慮を欠かさないために不可欠です。

振動と騒音の影響を抑えるために、低騒音・低振動機械の使用や防音壁の設置、事前の周知と法的な届け出が必要です。

また、振動と騒音のモニタリングを行い、適切に管理することで、施工の効率を維持しつつ周囲への影響を最小限に抑え、トラブルを回避できます。

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