この記事では、コンクリート打設計画書について確認していきます。
コンクリート打設計画書は、建物の構造体となるコンクリートを打設するために作成する計画書です。
どんなコンクリートを、いつ、どこで、だれが、どのような手順で作業するかを事前に計画して記載してするものです。
計画書のひな形やテンプレートは自社で設定されたものを使用してください、設定されていない場合にはこの記事でも参考資料とさせていただいてる日本建設連合会のひな形をもとに、現場に合わせて改変して使用すると便利です。
このひな形を使用すると施工品質管理記録として十分な水準になります、品質記録は必要な項目を記録できることが大切ですので必ず作成するようにしましょう。
記事では参考資料として日本建設連合会のひな形を使用していきます、このひな形を確認したい方は公式HPよりダウンロードしてみてください。
この記事で分かること
1.コンクリ―ト打設計画書のひな形
2.コンクリート打設計画書の書き方
順番に確認してきましょう!
※コンクリート工事の概要などは別記事にまとめています↓
コンクリ―ト打設計画書のひな形
まずは、コンクリート打設計画書のひな形にそって記載内容を確認していきましょう。
このひな形に下記の内容を埋めていきます。
実施数値まですべて記入すると次の記載例のようになります。
コンクリート打設計画書の書き方
つぎにコンクリート打設計画書に記載する各項目の内容を確認していきましょう!
コンクリート工事概要
まずは生コンクリートを打設する工事概要の記入です。
コンクリート強度
打設する生コンクリートの配合・種類・強度をコンクリート配合計画書より転記します。
これは、生コンクリートプラントによって使用する骨材やセメントの種類が異なることで必要な作業です。
そのため、設計で設定された建物に必要な強度を発現させるために生コンクリートプラントごとに異なるコンクリート配合計画書を作成する必要があります。
コンクリートの強度は、設計図に記載された設計基準強度と耐久設計基準強度の等級で指定された強度を比べて、大きいほう+温度補正値となります。
設計図の構造図特記にて、コンクリートの種類などが指示されています、参考にそれっぽい表を作成しました↓
3階立ち上がりコンクリートの設計基準強度は24、計画期間の級は短期で18です。
なので24(N/mm2)に構造体強度補正値を追加すると発注するコンクリートの強度が決まります。
計画供用期間の級 | 耐久設計基準強度(N/mm2) |
短期 | 18 |
標準 | 24 |
長期 | 30 |
超長期 | 36 |
打込みから28日間の平均気温 | 0≦θ<8 | 8≦θ<25 | 25≦θ |
構造体強度補正値(N/mm2) | 6 | 3 | 6 |
平時であれば24+3で27(N/mm2)の強度で手配しましょう。
打設計画
打設計画には、生コンクリートの打設日や作業する人員配置などの打設に係る基本情報を記載します。
打設数量と打設時間
打設数量と打設を行う時間を記載します。
・打設数量
数量は施工図から各部位に充填される数量を拾い出しておきます、この例では200㎥としてます。
生コン車(10T車)に積載できる数量は4.2㎥で設定しています、積載可能重量は積んでいる水タンクの大きさなどによって変わるので、プラントに確認してください。
・打設時間について
一例として、朝8時から朝礼と生コンクリートの受入検査を行い、打設開始できる時刻を9時と設定しました。
計画打設数量200㎥に対して、打設速度8台/時間とすると必要な作業時間は6時間です。
これに昼休憩1時間を追加すると、合計7時間で、9時開始で16時作業完了となります。
配置計画
コンクリート打設に係る工種について、打設数量や打設面積に応じて必要な人数の配置計画をします。
コンクリートを実際に打設する工種は、コンクリート土工、ポンプ工、左官工です。
作業時には合番者(立ち合い確認者)として、型枠、鉄筋、電気、設備、誘導員などの人員を計画しておき、コンクリート打設時になんらかのエラーが発生してもすぐに対応できるようにしておきしょう。
コンクリート配送・圧送方法
生コンクリートを打設場所(打ち込む場所)まで届ける方法を記載します。
コンクリートポンプ車を使用して圧力で生コンクリートを送り出すことを「コンクリート圧送」と呼びます。
圧送方法
例)ピストン式のコンクリートポンプ車1台 設置場所から最大距離30M
生コンクリート配送計画
生コンクリートのプラント(工場)から工事現場まで届ける方法について記載します。
生コンクリート業者名
一般的に生コンクリートを手配するのは商社なので、商社の名称を記載します。
生コンクリートプラント名
その日に出荷するプラント名を記載します、大型現場だと複数のプラントと契約することがあります、それぞれのプラントで配合計画書を作成するので、間違えて発注しないようにしましょう!
運搬する生コン車の台数
コンクリートの打設速度に対して、供給が途切れないように運搬時間を考慮して台数を設定します。
プラントから現場までの所要時間
実際の交通事情を考慮して設定します、工事計画作成時には実際の経路を車で走ってみて問題の無いことを確認しましょう。
現地検査・試験計画
生コンクリートを建設現場へ納入したら、打ち込む前に生コンクリートの受入検査や試験を行います。
受入検査の実施回数
受入検査の実施頻度は、打ち込み工区毎・打ち込む日毎で行います。
1回の打設量が150㎥以下になる様に実施する必要あるので、記載例のように200㎥打設予定の場合には2回の検査を実施します。
テストピース作成本数・圧縮強度試験実施予定
受入れ検査の実施とあわせて、圧縮強度確認用の供試体(テストピース)を作成します。
打ち込み数量150㎥以下にほぼ均等に分割した単位ごとに3個の供試体を作成し、圧縮試験強度は3個の平均値で判断をします。
必須:構造体強度確認用(28日)
必要に応じて:せき板脱型強度確認用、上階打設前強度確認用など
打設場所の図
生コンクリート打設場所の図面を貼り付けておきます。
図には、ポンプ車・生コン車の設置位置、ゲート位置、コンクリートの打設順序が分かるようにしておきましょう。
生コン打設入荷予定実施表
生コンクリートの打設ペースの予定と、実施記録を表として記載します。
縦軸に生コンクリート打設数量を記載し、横軸に時間を記載した表に対して予定を破線で施工予定を記載しておきます。
生コンクリートの打設実施後は実線で実際に施工したラインを記入します。
この表は次工区や上階の生コンクリート打設計画をおこなう時の参考になるので、できるだけ正確に記入しましょう!
書類の管理方法
今回紹介したコンクリート打設計画書・報告書は、コンクリートの施工品質記録として管理・保管する必要のある書類です。
コンクリートは目視では詳細な品質を確認できない材料です、適切に施工・検査されたという記録を残しておきましょう。
保管方法は、打設計画書・報告書、受入検査記録、圧縮試験記録を合わせて同じファイルに保管しておきます。
バラバラに保管すると立会検査時に探す手間が大変になります!書類業務は後回しにせずに、その日のうちにまとめておきたいですね。
コンクリート打設計画書・報告書作成方法まとめ
今回は、コンクリート打設計画書・報告書に記載する内容ついて解説してきました。
生コンクリートの打設作業は一度始まってしまうと途中でとめることの出来ない作業です。
建物の品質に大きく影響するため事前の計画をしっかり行い、施工後は品質記録として残してく必要があります。
しっかり計画・管理して、品質のよい建物を作っていきましょう!
今回紹介したコンクリート工事で扱った数値の根拠や、品質基準を詳しく知りたい場合は「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5」や「公共建築工事標準仕様書 建築工事編」を参照することをおすすめします。
これらは多くの建築工事の仕様書として採用されています、実際の現場で監理者や設計者が指定している仕様書がどれであるか、適切な仕様書をいつでも見れるように用意しておくといいですね!
今回は以上です、ではまた!
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