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【躯体工事】コンクリート工事の概要と流れを解説!

施工管理業務
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今回は鉄筋コンクリート造の躯体を構築するための「コンクリート工事」について、工事の特徴と流れを解説していきます。

生コンクリートは生物(なまもの)だから施工は時間との勝負!とよく言われます

これは作業を開始してから作業完了まで止めることできず、まさに一発勝負の工事だからですね。

コンクリート工事の担当になるとは作業を行う時にはやり直しのできないプレッシャーを感じます、いざ担当者になったときに焦ることのないように、そしてミスはなるべく起こさないように準備していきましょう!

この記事でわかることはこちら

1.コンクリート工事の概要

2.コンクリートとはどんなものか

3.コンクリート工事の流れと注意するポイント

まずは、これから行う工事がどんな工事で、どのように進むのか、工事管理者は何をすべきなのか

ざっくり全体を把握していただきたいと思います、順番に確認していきましょう!

コンクリート工事の概要を確認!

コンクリート工事とは、鉄筋コンクリート構造の建築物の構造体である、基礎・柱・梁・壁・床・階段などのコンクリート部材を構築する工事です。

コンクリート工事の特徴

建物の大部分の構造が鉄骨であったり木造であっても、基礎部分は多くの建物で鉄筋コンクリート基礎が採用されています、建物を建てるうえでは欠かせない重要な工事のひとつです。

関連する工事として、足場などの仮設工事、コンクリートの形を保持するための型枠工事、コンクリート内で骨の役割をもつ鉄筋工事などがあります。

コンクリートは建物の強度に大きく影響を与える材料で、構造設計によって必要な強度が計算されています。所定の強度を持ち、品質にムラのないことが求められます。

必要な強度・品質を確保するために、事前の準備・打設中の管理・打設後の養生をしっかり管理する必要がある工事です。

コンクリートとはどんなもの?

コンクリートを構成する材料を確認していきましょう。

  • セメント
  • 骨材
  • 混和材・混和剤

これらの材料を混合して作られるものが生コンクリートです

セメントは水と反応すると化学反応を起こし、熱を発生しつつ骨材とともに硬化することで強度のあるコンクリートの構造体を形成します。

水道水や井戸水・地下水などを使用します。

セメント

セメントは石灰や石膏から作られ、水と反応すると化学反応を起こし、熱を発生しつつ硬化します。

工事で使用されることのあるセメントの種類です。

普通ポルトランドセメント

最も一般的に使用されるセメントの種類です。

早強ポルトランドセメント

普通ポルトランドセメントより強度の発現が早く、低温でも強度が出る特徴があります。

中庸熱ポルトランドセメント

普通ポルトランドセメントより水和熱が小さく、乾燥収縮も小さいといった特徴があります。

高強度のコンクリートや、大きな断面を一度に打設する場合に採用されます。

高炉セメント

普通ポルトランドセメントに比べて強度の発現が遅いが、長期強度が大きいといった特徴があります。

骨材

骨材には砂利や砂、人工軽量骨材、砕石などを使用します。

骨材の分類
  • 粒の大きさによる分類
  • 重量による分類

粒の大きさによる分類

粗骨材(砂利)

5mm粒径が90%以上ある骨材です。

・細骨材(砂)

5mmのふるいで90%通過し、10mmのふるいで100%通過する骨材です。

重量による分類

完全に乾いた状態(絶乾状態)の比重で分類されます

絶乾比重2.5未満2.5以上2.8未満2.8以上
骨材の分類軽量骨材普通骨材重量骨材

混和材・混和剤

コンクリートの性能を改善して品質よくるために混ぜる材料です

液体状のものと粉末状のものがあり、流動性を高めためのものやコンクリートが凝結する速度を遅くさせる・早くさせるなどの目的で採用されます

採用されることの多い混和剤
  • AE剤
  • 減水剤
  • AE減水剤
  • 遅延型AE減水剤等
  • 交流度化剤
  • 硬化促進剤

コンクリートの配合や強度の設定

それぞれの配合は、設計図で指定された強度に対して、JIS規格に適合するように生コンクリートプラント(生コン工場)で配合を計画します。

コンクリート工事の流れと注意するポイント

つぎにコンクリートの流れを確認していきます。

  • 生コンクリート配合計画の作成
  • 試験練り
  • 打設計画の作成
  • 受入検査
  • コンクリート打設準備
  • コンクリート打設
  • 表面仕上げ
  • コンクリート養生
  • 強度確認
  • 次工程へ

生コンクリート配合計画の作成

配合計画の作成手順を確認していきましょう。

  • 設計図を確認
  • 工程表を確認
  • 生コンプラントへ配合計画書の作成依頼
  • 配合計画書が届いたら確認すること

設計図を確認

設計図の構造特記事項にコンクリートの強度の記載があります。

特記から数値を確認

設計基準強度(N/㎟)、スランプ値、適用場所、水セメント比単位水量、備考(混和剤・単位セメント量)

特記から、計画供用期間の級を確認

計画供用期間の級耐久設計基準強度(N/㎟)
短期18
標準24
長期30
超長期36

工程表を確認

工程表から各工区や各階のコンクリート打設時期を確認します。

これは打設時期によって構造体強度補正値をいくつに設定するべきかを確認するためです、詳しくは後述します。

生コンプラントへ配合計画書の作成依頼

設計図記載情報と、打設時期をプラントへ伝えて配合計画を作成してもらいます。

各プラントによって使用するセメント・砂・砂利・混和剤が異なるため、指定した強度のコンクリートをJISに規定された基準になるように配合計画をしてもらいます。

配合計画書が届いたら確認すること

プラントで製造するコンクリートの強度(調合管理強度)を決定するために行う作業です。

調合管理強度

設計基準強度と耐久設計基準強度をくらべて、求められる強度の大きいほう(品質基準強度)に構造体温度補正を加えた値を、実際に打設するコンクリート強度(調合管理強度)と設定します。

温度補正値

普通ポルトランドセメントの場合はコンクリートの打ち込みから28日までの期間の予想平均気温θをもとに計画します。

普通ポルトランドセメント0≦θ<88≦θ<2525≦θ
構造体強度補正値(N/)㎟

その他数値が設計図で指示された数値以上であるか確認を行います。

スランプ、適用範囲、水セメント比、混和剤や単位セメント量など。

試験練り

コンクリートの配合は、試験練りを行ってから最終決定をします。

試験練りで確認すること

設計図で指定された品質のコンクリートが、計画した配合で実際に作ることが出来るのか。

実際に生コンプラントから現場までの移動時間と同等の時間を生コン車にいれてから、取り出し、現場で行う受入検査と同様に試験をおこないます。

この時に、材料は分離していないか、所定のスランプが確保されているか、その他計画された数値になっているか確認を行います。

検査後、試験用の型に入れて28日間養生をおいてから圧縮試験を行い、合否を判定します。

打設計画の作成

コンクリート打設計画書には、どのような配合、どの順番で、どのように打設するかを記載し、コンクリート打設工事を行うまえにすべての関係者に周知するための事項を記載します。

テンプレートは自社で設定されているものを使用してください。

テンプレートがない場合や、古くなってしまったり、改変されていて基本がわからなくなってしまっている場合には、一般社団法人 日本建設連合会のHPからひな形をダウンロードできます。

コンクリート工事の施工計画書ひな形の中に入っているので参考にしてみてください。

施工計画書ひな形集(改訂版) 日建連関西支部 IT専門部会

受入検査

コンクリートが現場に到着したら打設前に受入検査を実施します。

試験には工事監理者や管理者が必ず立ち合い実施されます。

  • 納品書確認項目
  • スランプ試験
  • 空気量試験
  • 塩化物量試験
  • 試験の頻度
  • 圧縮強度試験用の供試体作成

コンクリート打設準備

コンクリートポンプ車を所定の位置へ停車させてアウトリガーを張り出し設置します。

ポンプ車にいきなりコンクリートを流し込むと途中で詰まる恐れがあります、コンクリート打設前に先送りモルタルを流してコンクリートの通りをよくしてあげます。

この時のモルタルはポンプ車内の水などが含まれるため、型枠の中には入れてはいけません、廃棄物として処理します。

コンクリート打設

打設計画で決めた順序にそって、型枠内へコンクリートを流し込んでいきます。

コンクリートを型枠内へ十分に充填させるため、高周波振動棒で締め固めたり、型枠の外側から木づちで叩いて充填させます。

打設時に確認したいポイント
  • 計画した順序で打設されているか
  • 型枠に確実に充填されているか
  • コンクリートの運搬間隔は適切か
  • 型枠や鉄筋、打ち込み配管、打ち込み金物の位置は変形していないか
  • コンクリートの打ち込み時間は守られているか
→外気温25℃未満25℃以上
打ち重ね時間間隔150分以内120分以内
練混ぜから打込み完了120分以内90分以内
コンクリート工事の時間管理表

表面仕上げ

土間屋さんによって所定の表面仕上げになるように、仕上げてもらいます。

均し

トンボなどで平滑に均した仕上げです、捨てコンクリートなどで採用されます。

比較的荒い表面になります。

木鏝押さえ

木鏝を使用して表面を平らに仕上げます。

後工程で仕上げとしてタイルや石を張ったりする場合など、付着力が欲しい場合に採用されます。

金鏝均し

木鏝押さえと金鏝押さえの中間位の仕上げです。

金鏝1回とも呼ばれます、後工程で仕上げはあるものの平滑度が求められる場合に採用されます。

仕上げのある室内の床であったり、表面に混和剤を散布する場合は金鏝均しが多いですね。

金鏝押さえ

表面を金鏝でつるつるに仕上げるものです、次工程では塗装や防水などの作業が出来る程度までかなり平滑に仕上げていきます。

コンクリート養生

コンクリート打設後はある程度硬化して強度が出るまでは養生期間を設けます。

養生期間中は透水性の小さいせき板による養生や散水などによって、湿潤養生を行います。

打設中に表面に数センチに混ぜるタイプの混和剤で、湿潤養生と同等の性能を持たすことのできる混和剤などを使用すると散水養生を省略できるので便利です。

せき板は所定の期間または、圧縮強度を確認することで湿潤養生を終了し、解体することが出来ます。

短期・標準長期・超長期
早強ポルトランドセメント3日以上5日以上
普通ポルトランドセメント5日以上7日以上
その他のセメント7日以上10日以上
湿潤養生期間
短期・標準長期・超長期
早強・普通・中庸熱セメント10N/㎟以上15N/㎟以上
湿潤養生を打切ることのできる圧縮強度

普通ポルトランドセメントを使用していて、4日目に解体したい場合には、供試体を圧縮試験にかけて10N/㎟以上の圧縮強度が発現していれば湿潤養生を終了して、せき板を解体できます。

但し、スラブ下や梁下は28日または100%の強度が出るまでは解体できませんので注意してください。

まとめ:コンクリート工事概要の解説

今回は、コンクリート工事の概要と施工時に注意するポイントを解説しました。

コンクリートは建物の強度に大きく影響を与える材料で、構造設計によって必要な強度が計算されています。

必要な強度・品質を確保するために、事前の準備・打設中の管理・打設後の養生をしっかり管理して良い建物を建設していきましょう!

今回の記事で扱った数値の根拠や、品質基準を詳しく知りたい場合は「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5」「公共建築工事標準仕様書 建築工事編」を参照することをおすすめします。

今回は以上です、ではまた!

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