今回は建設工事現場で資材などを必要な場所へ楊重するためのクレーン作業についてまとめていきます。
クレーンは、人の力では移動が困難な重量物を移動・楊重するために非常に便利な建設機械です。
重量物を持ち上げることが可能ため便利ですが、その反面には安全上のリスクもあるので事前の準備や計画が大切な作業です。
いずれも重大な事故や災害につながる危険性があります、クレーン作業を適切に管理して安全に工事を行うために、作業を行う前にしっておきたい内容をまとめましたので最後まで読んでいってください。
この記事で分かること
1.クレーンの種類
2.作業計画とクレーンの選定手順
3.クレーン作業計画書の作成
順番に確認していきましょう!
クレーンの種類
クレーンは重量物を楊重するために、使用場所に適したさまざまな形状や性能があります。
今回は建設工事現場で使用されることの多いクレーンを優先に紹介していきます。
形状での分類
クレーンはその形状で分類されます。
移動式クレーン
作業状況に応じて、工事現場内の希望する場所へ移動させて設置することの出来るクレーンです。
作業に適した位置に設置することができ、使用しないときには移動できるため工事に柔軟に対応が出来ます。
1日当たりの使用料金は楊重能力が高くなるほど、料金も高くなる傾向にあるため、必要な能力のクレーンを適切に手配して使用しないと無駄な原価が発生するので注意してください。
定置式クレーン
こちらのクレーンは初めに位置を決めたら撤去するまで移動させることの出来ないタイプのクレーンです。
クレーンを支える支柱の長さによって揚程が決まり、ブームの長さによって作業半径がきまります。
初期費用はかかりますが、ある程度の大型現場であればトータルのコストは移動式クレーンより抑えることが出来るクレーンです。
建設建物に設置して工事の進捗に合わせて自ら上へ上へ支柱を伸ばしていくタイプなどもあります。
定置式クレーン使用時の注意ポイントは、位置の移動が出来ないため工事全体を通して必要な作業半径をカバーできること、組立解体のための作業スペースを確保して計画することが大切です。
作業計画とクレーンの選定手順
ここでは、作業の計画手順とクレーンの選定手順の確認をしてきましょう。
楊重をするための条件設定
クレーンを使用して楊重したい物について確認し、クレーン選定に必要な条件などを設定していきます。
吊るモノ(吊り荷)の重量設定
移動式クレーンクレーンであればその日、または一定の期間で楊重する吊り荷の最大重量を設定します。
最大の重量となる資機材は、鉄骨造の建物なら鉄骨柱であったり、鉄筋コンクリート造の建物であれば鉄筋の束や型枠用のパイプサポートの束であったりします。
比較的鉄筋コンクリート造の建物のほうが吊り荷の重量は小さくなる傾向です。
取り扱う部材の重量が大きい鉄骨造の建設現場では、楊重計画が工事の最も重要なポイントのひとつとなります、事前の十分な検証と計画作成が必要です!
吊り荷の楊重先の設定
楊重した吊り荷を楊重先を設定します、どこへ移動して下ろしたいのか、地上からどれくらいの高さの場所なのかを設定します。
ラフタークレーンであれは楊重量が大きい重機ほどブーム(クレーンの腕部分)は長く伸ばせるようになっています。
定置式クレーンであれば支柱となるマストの長さを作業に必要な高さによって設定します。
クレーンの設置可能範囲の設定
工事の敷地条件によってクレーンを設置できる場所は限られます。
クレーンを設置しても搬入車両や資材置き場に影響がなく、電線や近隣建物に干渉しない場所は、敷地内・敷地外を含めて検証します。
敷地外にクレーンを設置したい場合には、道路使用許可申請を道路管理者に申請して許可を得ることで設置することできます。
設定した条件からクレーンを選定
クレーンは形状・楊重能力・作業半径・最大楊重高さを設定し製造されているため、作業に必要な条件に合致するものを適切に選択します。
クレーンの情報は各メーカーのHPで閲覧することが出来ます、取引のあるクレーン屋さんが所持しているメーカーはどこなのか聞いてみましょう。
今回は例として1,200kgの資材を、クレーン設置可能位置から18mの範囲、高さ15mの位置に楊重したい場合を想定し、移動式クレーンを使用すると想定した計画を行っていきます。。
使用するクレーン情報は株式会社加藤製作所公式HPより参考にさせていただきました、今回紹介したクレーン以外の情報が知りたい場合にはHPを参照すると様々な移動式クレーンのことがわかります。
設定した条件に適したクレーンを選定する場合に、まずは大まかにこれくらいかな?といったクレーンを仮定して、そのクレーンの性能表を確認していきます。
仮定したクレーンで過不足があれは一つ二つ大きさを変えて適切な重機を選定するようにしましょう。
確認するポイントはこちら↓
作業範囲図の確認
作業範囲図からクレーンのブームの長さによって高さと作業半径内に収まっているかを確認します。
今回設定した作業半径は18mなので、横軸の18mのところを確認します。(赤のライン)
また、建物の手前側が接触しないことの確認も大切です、手書きでもいいので建物位置を記載して確認しましょう!(グレーの四角を建物としました)
定格総荷重表の確認
定格総荷重表から設定した作業半径の時の楊重可能な最大値を確認します。
注意ポイントは、アウトリガー張り出し条件とブームを伸ばす長さによって、表のみるべき箇所が変わる点です。
今回はアウトリガー最大(6m)張り出しで確認していきます、表の一番左の列ですね。
表から作業半径18mのときの数値を読むと、29.0mブーム使用時の定格総荷重は2ton(2,000kg)です。
楊重する吊り荷+αの重量を確認
上で確認した定格総荷重の2tonは、吊り荷だけでなく、フックや治具の重量などクレーンにかかる全ての重量を含めた最大値です。
フックやジブの重量は性能表に記載があります、性能表より25t親フック220kg、4t子フック60kg。
治具とは、楊重作業をする際に使用する玉掛ワイヤーや金物などを言います、今回は仮に10kgとします。
よって、1,200+220kg+60kg+10kg=1,490kgとなります。
これに風や操作による荷ぶれ等を考慮して安全率を設定します、各会社で設定されている数値をして下さい、定格総荷重の80%とした場合には1.6ton(1,600kg)です。
1,600kg>1,490kg 判定はOKです!
クレーン作業計画書の作成
クレーンの選択が出来たら次に計画した内容をクレーン作業計画書に記載します、作業前には作業経過うしょの内容を作業者へ周知してから作業を開始します。
これはクレーン則によって定められたいるため、必ず実施しましょう!
書式は各社で設定されたものを使用してください、今回は(一社)北海道建設業協会 労務研究会 HPより参考資料を引用させていただきました。
クレーンの作業て計画書の作成方法については別記事にまとめています、是非参照してください!
基本的な記載項目
クレーンの特徴と選定方法についてのまとめ
今回はクレーンの特徴や作業を行うための選定方法について確認しました。
1.クレーンには移動式と定置式があります
移動式の代表例:ラフタークレーン
定置式の代表例:クライミング式ジブクレーン
2.クレーン選定の手順
3.クレーン作業計画書の作成
クレーンを使用する作業をおこなうために、法的に必要な書類を作成します。
設定したクレーンの情報や、作業方法、人員配置、機械の配置を記載し、作業前には周知を行うようにします。
今回は移動式クレーンで選定しましたが、定置式であっても要領はほとんど同じです、違いは組立・解体のスペースが必要であることなどです。
クレーンは便利ですが、あやまった計画を行うと重大な災害につながるリスクがあります、適切に計画し管理して、安全作業に努めてください!
今回は以上です、ではまた!
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