今回は建築物を支える基礎部分である地下躯体工事について確認していきます。
基礎は、建物の重量を地盤に伝えるための構造上重要な部位です。
基礎躯体工事は若手の現場監督や新人監督さんが担当を行うことが多い工事のひとつです。
若手の施工管理者や、これから現場監督になる方へ向けて、地下躯体工事ってこんな工事ですよ!といった紹介を中心に解説して行きたいと思います。
この記事で分かること
1.地下躯体工事の概要
2.工事全体の流れ
躯体工事が始まると、それまでより多くの業種が現場で作業を始めます。
工事の業種・人数ともに多くなり管理業務が複雑になるため、わからないことが多いと業務に追われ、焦ってしまいがちです。
工事の全体像を把握して、しっかり準備をして対応していきましょう。
地下躯体工事の概要と特徴
基礎の構造体は、地上の躯体重量や設備や人などの重量、風や地震などの力を受けて、地盤や杭へ力を伝える役割をもっています。
工事の基準
地下躯体工事をどのような形状や構造で施工するか、については基本的に設計図に記載されています。
設計図に記載しれきなかった詳細な寸法や収まりを、工事現場の施工管理者が施工図として詳細図面を作成し、施工図をもとに工事がすすめられます。
工事の施工基準は設計図に記載された内容で施工します、細部の基準はその現場で採用される仕様書に記載されています。
現在、多くの工事現場で採用される仕様書はこちら
担当する現場でどの仕様書を参照するかは設計図に記載されていたり、工事監理者から指示があります、事前に確認しておきましょう。
工事の施工時期
地下躯体工事は掘削工事のあと、捨てコンクリート打設後から始まります。
全体工程では前半~中盤の工事ですね、工程表ではこちら↓
躯体工事より前の工事も別記事で紹介しています、合わせて参照してみてください。
地下躯体工事の流れ
次に基礎躯体工事全体工事の流れについて確認していきます。
今回は掘削工事が終わり、捨てコンクリート打設後からの解説です。
各工事の詳細は別記事へまとめていくようにします、今回は全体の流れを把握することを目的に確認していきましょう。
墨だし
捨てコンクリート上に基準線や、躯体の位置の線を墨壺と墨汁を使用して表していく作業です。
親墨出し
柱や梁の基準となる通り芯や、通り芯からの平行にずらした逃げ芯を、捨てコンクリート上に墨で線を打っていきます。
子墨出し
捨てコンクリート上に出した基準墨から、基礎・柱・梁・壁などの位置を墨打ちして型枠を立て込む準備する作業を行います。
スリーブや打ち込み金物位置出し
子墨が出た後に躯体の中に打ち込む金物の位置を捨てコン上にしるしをしていきます。
杭頭補強筋設置
既成コンクリート杭を使用した場合に、杭を躯体に定着させるための鉄筋を杭の頭に設置する工法が採用されることがあります、髭(ひげ)筋などと呼ばれることもありますね。
設置方法はスタッド溶接や半自動溶接など工法によって様々です、工法の使用を確認して適切に管理しましょう。
仮設設置①
地下躯体工事を行うための通路など、仮設の設備を設置します。
地足場設置
基礎工事は地盤面より深い位置で作業が行われるため、躯体工事が進むと作業面で隣のスパンなどへの移動が出来なくなります。
躯体工事に先行して、まずは通路となる足場を設置していきます。
昇降足場の設置
通路となる足場を設置したら、作業位置へおりるための昇降設備を設置します。
地足場から降りる先にスペースがある場合にはなるべく階段状の仮設昇降足場を設置し、狭い場合には梯子(タラップ)を設置します。
荷取りステージの設置
材料をクレーンで配るときに仮置きできるエリアを、通路と同じ高さでいくつか設置します。
このステージに仮置きした材料を、必要な場所へ手で運搬し配っていきます。
上階が鉄骨造の場合
鉄骨柱を固定するためのアンカーボルトを仕込むためのフレームを設置します。
梁配筋と干渉しない位置に設置することが管理ポイントですね。
基礎配筋
基礎配筋工事は、基礎躯体コンクリート内部の骨組みとなる鉄筋を組んでいく作業です。
基礎エース設置
鉄筋を梁の形状に組むために補助材として、アングルなどで組んだフレーム(基礎エース)を設置します。
構造体ではないため、なるべくコストをかけないように検討します。
基礎ベース筋の配筋
フーチング基礎の下部分の配筋を行います。
柱配筋
ベース筋配筋を終えると、次にベース筋の上に柱配筋を行います。
柱筋は高さがあるので、通路足場から柱筋を受ける補助材として短管パイプなどで設置しておきましょう。
地中梁配筋
次に地中梁の配筋作業です。
基礎エースに預けるように組んでいき、主筋は溶接・圧接・機械式継手などで継いでいきます。
このタイミングで地中梁内へ打ち込むスリーブや人通口の設置し、あわせて補強筋配筋も設置していくので位置は正しく入っているか数は足りているかしっかり写真で記録しましょう。
基礎ハカマ筋配筋
次に基礎フーチングの上部分を配筋作業です。
衣類の袴のような幅広い形からそのように呼ばれるようです。
小梁配筋
床スラブを受ける小梁は捨てコン高さよりかなり高い位置になることがあります。
その場合には先行して小梁受けの型枠を設置してから乗せていきます。
差し筋配筋
上階の壁筋や床スラブ筋を基礎躯体へ定着させるために仕込んでおきます。
位置、本数、配筋の間隔を上階の図面と見比べながら確認していきます。
型枠建て込み
基礎配筋が完了したら次はコンクリートを形をつくるための型枠を組み立てていきます。
型枠は表面をつるつるに加工したコンパネを使用したり、金網状の型枠(ラス型枠)を使用します。
仮設工事②
次はコンクリート打設足場設置作業です。
躯体をにコンクリートを流し込むために、躯体に沿って足場を設置します。
コンクリートを圧送するためのホースは重いため、安全に作業できることが重要です。
コンクリート打設
いよいよコンクリートを流し込む、コンクリ―ト打設作業です。
コンクリートは、生コンプラントからミキサー車で運搬し、コンクリートポンプ車を使用して圧送して流し込んでいきます。
コンクリートは型枠に打ち込むと呼ばれ、この作業をまとめてコンクリート打設と呼びます。
各種解体作業
つぎに、コンクリート打設後の作業を確認します。
打設足場解体
コンクリート打設後にまず打設足場を解体します。
打設足場は型枠近くに設置されるため、作業性を確保するために最初に解体します。
型枠解体
コンクリート打設後、必要な養生期間をおいてから、型枠を解体します。
躯体コンクリート出来形検査
型枠を解体撤去した後には、設計通りに基礎躯体が構築されているか、品質に問題はないか現地で確認検査を行います。
検査では必要なサイズが確保されているか、コンクリートの硬化状況は適切であるかなどを確認します。
地足場解体
出来形検査完了後に通路として使用していた地足場を解体します。
※人通口がない場合には、はしごなどを設置しておき、地足場解体後でも行き来が出来るようにしておきましょう。
床スラブ構築
基礎躯体が構築出来たら次に床部分を作っていきます。
床スラブと土間スラブどちらがで1階の床を構築します、どちらであるかは設計図の構造図を確認してください、一般的にスラブの場合の記号は「S」、土間の場合には「土間」と記載されています。
床スラブ
地下に空間を設置する構造の場合には床はスラブとして設置します。
スラブの場合はパイプサポートを使用してスラブ型枠を受ける形状で組み立てます。
土間
床を土間とする構造の場合には埋め戻しを行い、埋め戻した上に砕石を敷き均し、土間配筋を行います。
まとめ:地下躯体工事(基礎工事)の概要と流れ
今回は地下躯体工事の流れを解説しました。
基礎の構造体は、地上の躯体重量や設備や人などの重量、風や地震などの力を地盤や杭へ力を伝える役割をもっています。
工事の流れとしては下記の流れで工事が進んでいきます。
工事の規模によって、追加で必要な作業や省かれる作業がありますので各現場状況に応じてアレンジし対応してください。
今回の記事で扱った数値の根拠や、品質基準を詳しく知りたい場合は「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5」や「公共建築工事標準仕様書 建築工事編」を参照することをおすすめします。
今回は以上です、ではまた!
それぞれの工事の詳細な解説は別記事にまとめていきますので、そちらも参照ください。
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